この日出場した140人中、最軽量の50キロ、プロ14年目の安本大祐(35=テラモト)が首位に立った。23位から出て、1イーグル、5バーディー、2ボギーの66と5つ伸ばして回り、通算7アンダー、135。後半は9ホールの自己ベストを1打更新する、29という圧巻のスコアだった。1973年のツアー制施行後、日本人22人の国内メジャーでのツアー初優勝を目指す。他に堀川未来夢、出水田大二郎、嘉数光倫(かかず・てるみち)も首位に並んだ。

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前半とは別人の快進撃だった。2つ落とし、通算イーブンパーで折り返した1番パー5。安本は2オンから、5メートルのパットを沈めてイーグルを奪った。すると2、3番も3メートルを沈めて連続バーディー。勢いは止まらず、6番パー4は第2打を5センチにつけて楽々バーディー。8番パー4も第2打を1メートルにつけ、9番パー4は15メートルものパットを沈めて連続バーディーで締めた。「練習でも出したことがない」と、自己最高を更新するハーフ29に笑顔だった。

身長175センチに対し、体重は50キロという細身だ。この日出場した140人の中でもダントツの軽さ。2番目に軽量の上森大輔の60キロ(161センチ)よりも10キロも軽く、最重量105キロのT・ペク(米国)の105キロ(186センチ)の半分以下しかない。「太っている人のダイエットと同じように、食べることにストレスを感じる」。それでも今季のドライバー平均飛距離は290・25ヤードでツアー25位。ボールに力を伝える、熟練の技に磨きがかかってきた。

今大会前の1日には、東北福祉大の先輩で尊敬する池田勇太と2人で食事に出かけた。そこで「もう少しゴルフを楽しみなさい。うまくいかなくても怒らないように。運が逃げる」と言われ、身に染みた。前半2つ落としても「むしろよく耐えて我慢できた」と、前を向き続けた。さかのぼれば、日没サスペンデッドで51人がホールアウトできなかった前日も、安本はギリギリで競技を終えた。余分な早起きはなくなり、休養に充てられるなど運は向いている。昨年6月に下部ツアー初優勝という遅咲き。「いいことばかりじゃないけど、耐えれば思いがけないラッキーも来る」。苦労人が、初優勝への思いを高めている。【高田文太】

◆安本大祐(やすもと・だいすけ)1987年(昭62)1月20日、北海道生まれ。10歳からゴルフを本格的に始め、北海道尚志学園高3年時の04年に全国高校選手権春季大会2位。東北福祉大では07、08年に北海道アマ連覇。08年12月にプロ転向。昨年、下部のABEMAツアー「LANDIC CHALLENGE8」で初優勝。175センチ、50キロ。