渋野日向子(23=サントリー)が66の猛チャージで2位に浮上した。風速10メートル前後の強風を楽しむように6バーディー、1ボギーと5つスコアを伸ばし、通算9アンダーとした。14アンダーの首位は、優勝した19年大会最終日で同組だったアシュリー・ブハイ。再び同じ最終日最終組で、5打差逆転のメジャー2勝目を狙う。

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「風強すぎた~。疲れたよ~」と嘆く笑顔に喜びがあふれた。「こんだけ風が吹いてると、それしか考えられない部分で良かったのかな? (73の)昨日の方が風がなくて“風があった方が得意なのかな?”と思うくらいで…。自信を持って(ショットで)振り切れたのが良かった」。ずっと言い続けるキーワード「風と友だち」に、いや「風と親友」になれた。

実測119ヤード。ティーイングエリアが30ヤードも前に出された7番パー3で、スイッチが入った。強烈なアゲンスト。無風なら9番アイアンの距離で、3番手も大きい6番アイアンを手にした。

「いや~、あそこで、120ヤードちょっとで、まさか6番で打つとは思わなかった」。

想像を超える距離とクラブのジャッジ。そのショットがバンカー越しに切られた左ピンの左上4メートルについた。自分の疑念を晴らす“正解”を得て、下りラインを流し込み、バーディーを奪った。

確信の後半は、ナイスショットを連発した。10番の第2打は9番アイアンで80センチ、11番は97ヤードを2メートルにつけて連続バーディー。ホール別難易度で1位を争う14番パー4(423ヤード)は、アゲンストの194ヤードを3番ウッドでピン右前2メートルへ。スーパーショットでバーディーを奪った。

勢いは運も呼ぶ。終盤の稼ぎどころ、17番パー5では残り225ヤードから7番ウッドで狙うとグリーン右前のマウンドで打球が左にキックして、左ピンの手前6メートルまで転がった。イーグルパットこそ逃したが、楽々のバーディーを奪った。

無駄な重圧もなかった。スタート1番ティーから、笑っていた。ナイスショットだけでなく、ミスしても笑った。3日間で1番、笑顔で回っていた。

前日6日に予選通過を決めた後、しみじみと本音をこぼした。「こんだけいいスコア(6アンダー)が出ても、その前までは78とか70台後半ばっかりだった。その時のことは忘れたくても忘れられないというか、引きずってるんで」-。

6アンダーで首位発進した翌日にたっぷり“貯金”があっても怖かった。5月から日米8戦で予選落ち6回、棄権1回…。結果を出せず、大たたきにおびえる日々に終止符を打った。呪縛が解けた決勝ラウンドは、格別だった。

首位と5打差の最終日。「風が吹くと何が起こるかわからないので。久々の好位置なので、明日も楽しみながらプレーしたいです」。林間コースだった3年前とは違う風のリンクスで、日本人初のメジャー2勝目に挑む。

【全英女子】渋野日向子「スタートからすごく縦距離が合っていた」一問一答1>>