新世紀世代の山下美夢有(21=加賀電子)が完全優勝で今季3勝目、ツアー通算4勝目を挙げた。

2バーディー、1ボギーの71で回り、通算18アンダー、198。大会レコードだった21年の西村優菜の通算15アンダーを更新。8打差から5打差に詰められたが悠々と逃げ切る圧勝で、次戦の国内メジャー、日本女子オープンに弾みをつけた。ルーキーの竹田麗央と三ケ島かなが5打差の2位。前年覇者の西村優菜は27位だった。

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山下はウイニングパットを沈めるとホッとした表情を見せた。第1日は18ホール最少ストロークのツアー新記録「60」のロケットスタート。圧勝も率直な心境を吐露した。「ピン位置が難しく、バーディーチャンスが少なかった。ショットは悪くなかったけど、最終日は苦しいなと思った」。

トップ10入りは歴代3位タイの12戦連続。6月の宮里藍サントリー・レディースで今季2勝目を挙げた後、優勝まであと1歩届かなかった。前々週のメジャー、日本女子プロ選手権では単独首位に立ちながらも、最終日に逆転を許した。

コーチでもある父勝臣さんと、時々助言を仰ぐゴルファーの先輩、中嶋常幸の2人から「最終日になると考え過ぎて、いつものプレーができていない」と指摘された。「プレーが遅くなってしまっていた。今週から淡々とプレーするため、リズムだけを意識した」。失敗を糧にし「今日も100点。攻めのゴルフができた。最終日は良かったと思う」と手応えを口にした。

ツアー後半戦での優勝は大きな意味がある。昨秋は体力が落ち、体重も2~3キロ減った。走り込んだり、好きなものを好きな時に食べるなど食生活を改善。今大会は連日、名物の牛タンとステーキを食べた。「昨年は苦しかった中で後半戦を戦っていた。今年はこうやって、優勝することができて自信になりました」。

「目標は複数回Vでしたが、メルセデス・ランキング1位もしっかり取りたい」。確かな手応えを得て、年間女王の座も視野に入れつつある。【近藤由美子】