上田桃子(36=ZOZO)が3度目の大会優勝に王手をかけた。首位から出て、7バーディー、2ボギーの68。一時は2位のジェマ・ドライブラ(英国)に抜かれたが、最終18番で単独首位を奪い返した。

12番で上田の心に火が付いた。リーダーボードを見ると、8位ドライブラに追い上げられていた。「あらら、抜かれとるじゃないか」。その差は2。最終組で回っているメンバーは鈴木愛と山下美夢有の国内組。外国人の名前で米女子ツアーを意識し「ギアを入れて日本の選手の1人として頑張りたいと思った」。そこから2連続バーディーで再び首位に並ぶと、最終18番のバーディーで再び単独首位に立った。

大会前は2週連続予選落ち。調子は良くないまま臨んだ大会だが、考え方を変えた。これまでは熱い気持ちで戦ってきたが、失敗しても成功しても今の自分を受け入れる思考法。「イメージ的には『いいよ』と思うこと。自分を責めすぎずに、受け入れること」。

日本女子オープンの時に読んだ雀士で著作家・桜井章一氏の著書から啓示を受けたという。「結構自分の中で衝撃的なフレーズがあって。『しなやかに』とか『勝つより負けない強さ』だったり。1個上の段階にいくには、まねとかそういうものではなく、自分を磨くこと。自分らしさを意識することを学んだ」と話す。

この日は母・八重子さんの73歳の誕生日だった。「ゴルフの話はしないので、何も言って来なかった。ただ、母がどういうプレーが好きかは分かっている。こういう位置で回れて、母も喜んでくれる」。最終日に11年以来3度目の今大会優勝に挑む。「勝っても負けても、母の喜ぶゴルフをやりきれれば」と、静かに闘志を燃やした。