4打差5位で出た谷原秀人(44=国際スポーツ振興協会)が、逆転で昨年に続く連覇で今季初優勝、通算17勝目を挙げた。5バーディー、ボギーなしのベストスコア65で回り、通算12アンダー、268。2打差以内に6人の混戦を制し、10~12年に3連覇した藤田寛之以来、10年ぶり6人目の大会連覇を果たした。ファンなどから批判的な意見も多かった、サウジアラビア政府系ファンドが支援する超高額賞金の新ツアー「LIV(リブ)招待」に出場することに対しても初めて言及し、持論を展開した。

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すでにプレーを終えていた谷原は、最終組に追いつかれないのを見届け、仲間の祝福に笑顔を見せた。5打差を追い、2番パー3で10メートルのパットを決めて最初のバーディー。8、9番で連続バーディーを奪って首位に並んだ。その後、一時は2打差をつけられた首位の小平が落とす間に、2つ伸ばして最終戦で今季初優勝。連覇に「まさか優勝できるとは。ビックリ」と声を弾ませた。10年ぶりの大会連覇。来年の目標を問われ「3連覇」と即答した。

44歳での優勝は、41歳で1勝した岩田寛を上回り、今季最年長だった。今季全26戦の優勝者の平均年齢は28.23歳。日本ゴルフツアー機構によると、記録の残る85年以降では10年の29.64歳を上回り、優勝者の平均年齢が史上最年少となった。世代交代を印象づけたシーズンで意地を見せたベテランは「毎年落ち着いてきている。ちょっと神経が衰えているのかも」と笑わせつつ、終始冷静なプレーを勝因に挙げた。平均年齢については「僕が上げちゃったな」と笑って話した。

今季はゴルフファンからの批判が相次いだ。昨オフに選手会長に就任したが、国内男子ツアーを欠場してリブ招待に出場したことが理由。特に選手会主催試合の欠場で批判が強まった。10月の平和PGM選手権では、主催者に出場辞退を促されたことも認めた。4戦出場したリブ招待についても言及し「スーパープレーヤーが出るツアー。刺激をもらえる。選手なので競いたい」。メジャー覇者が多数在籍し、一緒に回る機会も増えることが魅力だという。来季以降もリブ招待に限らず「出られる試合があれば出たい」と海外への思いは強い。衰え知らずの上昇志向が、44歳の何よりの勝因だった。【高田文太】