岩井明愛(あきえ、20=Honda)が初優勝を飾り、昨季2勝を挙げた妹千怜(ちさと)とのツアー史上初の双子姉妹優勝を達成した。

首位と1打差の2位から出て2バーディー、2ボギーの72で回り、通算7アンダー、209。首位から出た申ジエ(韓国)を逆転した。姉妹優勝も福嶋晃子&浩子、堀奈津佳&琴音に続いて3組目という少なさ。「2人で歴史をつくりたい」と、今後も姉妹で優勝を重ね、将来は米女子ツアーでの活躍を目指す。

    ◇    ◇    ◇

わずか10センチのウイニングパットを決めると、岩井明は両手を握り締めて胸を張った。1差を追い、同じ最終組で回った申らに祝福されると、こらえきれなくなった。そして、グリーン脇で見ていた妹の千怜が泣きながら歩み寄ってくる姿を目にすると、1度はぬぐったはずの涙がまた、あふれ出た。優勝インタビューでは声を詰まらせた。「ゴルフファンの方、チームのみんなに応援してもらって勝てた」。前日第2日まで降り続いた雨から一転、最終日は、岩井明の涙雨が止まらなかった。

元世界ランキング1位の申に真っ向勝負を挑んだ。1打差を追ってスタート。4番パー5で第3打をグリーン奥のバンカーに入れ、最初のピンチを迎えた。だが、これを70センチに寄せてボギーを回避。パーパット前には、あえて周囲を見渡し一呼吸置いた。「1点を見つめないようにしている。集中しすぎると、そこしか見えなくなるから」。今季から取り入れた緊張と緩和のバランスを取る手法が奏功。パーをセーブした。

10番のバーディーで2打差と迫ると、一段と高まる緊張感で申の方が乱れ、3つ落とした。「前の自分だったら気持ちが出すぎていた」と、精神面の成長を勝因に挙げた。11番からの8連続パーで逆転優勝をつかんだ。

昨季は千怜が初優勝、さらに翌週も勝って、史上3人目の初優勝から2連勝を飾った。「周りからは『早く勝って』と、ずっと言われてきた」。勝ちたい思いは人一倍。一方で、昨季最高の2位だった10月の富士通レディースは終盤で守りに入った。関係者に「シード権を優先した」と打ち明けたことがある。優勝したことで早々にシード権を得ていた妹のように、攻めの姿勢を貫けない自分がもどかしかった。今季は自分が先に優勝。「来週も優勝を狙って頑張りたい」と、2週連続Vにも意欲的だ。

妹と話したことがある。「2人で海外に行ったらカッコイイね」。いつか2人で世界最高峰、かつて申もいた米女子ツアー参戦-。「2人で歴史をつくりたい」。優勝を重ねた先に、世界を見据える。【高田文太】

▽岩井千怜(自身は4位で出て14位に終わるも、姉の優勝に涙) 自分のことのようにうれしい。1打差だったので本当にドキドキした。気持ちがすごく強くなった。ゴルフ界を盛り上げたいので、私もまた優勝して、2人でもっと大きなことを成し遂げたい。世界で戦う選手はカッコイイ。2人で海外に行きたい。

▽申ジエ(第1日からの首位を守れず2位) (2日間同組の岩井明は)天気が良くなくて我慢することが難しいのに、しっかりと我慢していた。まだ若いし、いろいろな経験と挑戦をしていくと思う。私は負けたけど頑張ることができた。後悔のない1週間だった。

【ツアー初Vで涙&笑顔の岩井明愛 じゃれる山内日菜子と脇元華/女子プロ最終日写真特集】