第1ラウンドから首位を守ってきた出た山下美夢有(21=加賀電子)が、完全優勝で今季4勝目、節目の通算10勝目を挙げた。この日で21歳320日の山下は、通算10勝目としては宮里藍の20歳105日に次ぐ、ツアー史上2番目の年少記録。従来の2位だった稲見萌寧の22歳108日を抜いた。

この日は父の日。表彰式後のインタビューで山下が涙声になった。「今日は父の日で。10勝目を挙げることができてうれしく思います。コーチである父はいつも支えてくれて、ゴルフ以外でも私のために頑張ってくれていて…。こうして結果で恩返しできてうれしいです」。

山下は2位の岩井明愛を4打差、3位の岩井千怜を6打差リードしてスタート。前半を終えて岩井明に一時は2打差に迫られたが、最後まで追いつかれることなく逃げ切った。3バーディー、ノーボギーの69と3つ伸ばし、通算17アンダーの199。史上初めて姉妹で最終日最終組を回った岩井姉妹に注目が集まったが、終わってみれば2位の岩井明愛に3打差。昨季年間女王で、今季も年間女王争いの先頭を走る山下が強さを見せつけた。

前半は耐えた。バーディーは5番パー4の1つだけ。ただ、5番のバーディーは圧巻。フェアウエーからの第2打を、ピン奥50センチにピタリとつけ、大歓声を呼び起こして伸ばした。8番では岩井明にスーパープレーで2打差に迫られた。右手1本で放ったアプローチが、チップインバーディーとなった。直後に岩井千もバーディーパットを決めるなど、流れが岩井姉妹に傾きそうになったが、堅実にパーを並べて折り返した。

すると後半最初の10番パー5で、2つ目のバーディーを奪った。このホールは岩井姉妹もバーディーで、差は広がらなかったが、13番パー4で奪った3つ目のバーディーは、5番に続いて再び大歓声を起こすスーパーショットで奪った。フェアウエーからの第2打を1メートルにつけ、難なく伸ばした。この時点で、13アンダーで並んでいた2位の岩井姉妹に4打差。さらに、昨年大会優勝の西村優菜がマークした、3日間通算の大会コース記録の199と同じ17アンダーまで伸ばして逃げ切った。

この日と同じ3人でプレーオフを戦った、5月の5月のRKB×三井松島レディースは、岩井千に敗れた。その日はちょうど母の日。支えてくれた母への恩返しの優勝を目指していたが、父の日のこの日、雪辱を果たした。首位で終えた第1ラウンド後には「まだ父の日に勝ったことがないので勝ちたい。それが恩返しかなと思う」と、コーチの父勝臣さんへの感謝を口にしていた。今大会中もアドバイスを受け、ショットのブレを修正するなど、今大会の優勝も後押しを受けていた。

手をたたいて笑顔を見せる稲見萌寧、スタートで爆笑する木下彩ほか/女子プロ最終日写真特集1

ティーショットを放つ山下美夢有、岩井明愛、岩井千怜ほか/女子プロ最終日写真特集2