前週まで今季22戦に出場して17戦で予選落ち、最高が35位と不振にあえいでいた佐藤心結(21=ニトリ)が、好位置の4位から最終日に臨むことが確実となった。
18位から出て5バーディー、ボギーなしの67と5つ伸ばして回り、通算5アンダー、139。67は今季ベストスコアで、ボギーなしも今季初。首位独走の川崎春花とは6打差と開いたが、ホールアウト後は「100点に近い内容」と、声を弾ませた。
出だしの1番パー5で、第3打を3メートルにつけて、幸先よくバーディー発進した。2番パー4でも伸ばして勢いに乗り、前半だけで4つ伸ばした。後半はパーを耐える時間帯が続いたが、しぶとくパーを並べた。最終18番パー5では、残り93ヤードからの第3打を1メートルにピタリとつけてバーディー締め。最終日へ勢いをつなげた。
プロテスト合格前、アマチュア時代の高校3年時に、渋野日向子らとのプレーオフで優勝を争って2位になるなど、将来を嘱望されていた。中学時代は神奈川県の地区大会優勝経験もある、砲丸投げで培った足腰の強さから、ドライバー平均飛距離は、プロ1年目の22年が248・59ヤード、同2年目の23年が253・92ヤードで、ともにツアー10位と、屈指の“飛ばし屋”だった。それが今季は245・07ヤードでツアー27位と、大きく落ち込んでいる。
「自分の武器だったショットが、どんどん自信がなくなって、振れなくなってきてしまって。ヘッドスピードも落ちて、飛距離が落ちて…。そういったところから、自分のゴルフができなくなって…。パターにも苦しんで…。負のループに陥ってしまった」。今季、苦しみ続けた胸の内を明かした。
今季は開幕から4戦連続で予選落ち。「春先ぐらいまでは、どんどん落ちていってしまって『ゴルフやりたくないな』とか『みんながいる前で練習したくないな』とか、そういう気持ちになっていた」。それでも周囲の励ましの声に救われた。「まだまだ、これからだよ」「今季の試合数もまだあるから大丈夫」。中でも「楽しんでやった方がいい」と、当たり前かもしれないことを、思い出させてくれたことに感謝する。
そんな日々を過ごすうちに「大たたきするようなゴルフは、最近はしていなくて、予選落ちは多かったけど、1打、2打の差で落ちることが多くて『もう少しだな』とは思っていた」と、ネガティブな感覚は消えていた。そこへきて、毎年1度、今大会だけキャディーをお願いしている、ゴルフ歴がほとんどない大学生の兄俊貴(しゅんき)さんと一緒に回ったことが、一段と精神面で背中を押してもらった。
「兄は常に『大丈夫』とか『まだいける』と、ポジティブな声を懸けてくれる。昨日(第1ラウンド)も「この雨と風でイーブンパーは、アンダーの価値がある』と言ってくれた。それで、しっかりと耐えられた」。近隣の神奈川・小田原市出身で、今大会はアマチュア時代から毎年のように観戦に訪れており、身近な兄の存在もあって、初心を取り戻し、ゴルフだけに集中できた。
追いかける首位の川崎は同学年で、プロテスト合格も同期だ。その川崎も、プロ1年目の22年に2勝したが昨季は勝てずに苦労し、今季2勝。佐藤心は「同期で仲の良い春花が(復活)優勝したのは、本当に自分もうれしかった。(互いが)苦しい時も話して相談していたので、2週連続で優勝したのは、すごい刺激になりました。私が上位で最終日、というのが、すごい久しぶりなので、いつも以上に力んだり、緊張したり、というのは、多少はあると思う。でも、ここまできたら楽しむのが1番」と、晴れやかな表情で話した。初優勝へのあこがれは今も変わらず、まして今大会は地元開催。さまざまな思いも出そうだが、今季苦しみ続けた佐藤は「楽しくやった方が、成績は良くなるのかな」と話して笑った。一皮むけた今大会。結果にこだわらず、最後まで笑顔で終えることを目標に掲げていた。【高田文太】

