中学3年の平野美宇(15=JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(14=スターツ)が、世界選手権のデビュー戦を白星で飾った。女子ダブルス1回戦でヘルミ(エジプト)モントゥファル(グアテマラ)組に4-0のストレート勝ち。昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルを制した実力を披露した。2回戦でリー・ジエ(オランダ)リー・チェン(ポーランド)組に3-4で敗れたが、女子シングルスでは2人そろって2回戦に駒を進めた。

 中3ペアが輝いた。硬くなった平野が開始直後にミスを連発すると、伊藤はすかさず「大丈夫だよ」と声をかけた。5歳からペアを組み、お互いの気持ちを理解しあえることが最大の強み。「緊張しなかった」と言う伊藤が得意のフォアで連続得点を奪うと、平野も本来の動きを取り戻した。

 4-0の圧勝だった。メーンコートの8試合で一番早く決着すると、会場からは大きな拍手と歓声を浴びた。昨年3月のワールドツアー・ドイツオープンで13歳ペア史上最年少優勝。同12月のグランドファイナル(タイ)も制して世界を驚かせた。27日の練習後も中国など海外メディアに囲まれるほどの注目ぶりだ。

 2人の大舞台での強さは母の存在が大きかった。平野は3歳から母真理子さん(46)とラケットを握った。将来に備え、幼少期から「自分のことは自分で」が教育方針だった。どこに行くときもリュックにオムツと飲み物を自分で入れて背負った。小1からは大阪にあるミキハウスの練習場まで、乗り継ぐ電車を教わって山梨から1人で通った。伊藤も2歳から母美乃りさん(39)と二人三脚。幼稚園の頃から深夜2時まで練習することもあった。あいさつや、掃除、洗濯の教育は共通。「怖かったですけれど、本当に感謝してる」と声をそろえる。

 2回戦は苦手のカット型ペアに敗れた。それでも1-3の崖っぷちから、第5ゲームは8-9から3連続得点。第6ゲームも10点を先取する土壇場での強さは示すことができた。伊藤は「すごく悔しいが、今後は五輪に出場したいし、シングルスが残っているので頑張りたい」と前を向く。

 ダブルスは敗退したが、シングルスはそろって1回戦を突破した。平野美が逆転勝ちすれば、負けじと伊藤はパワー型の相手を技術で圧倒し、3月のドイツオープンで女子シングルス史上最年少優勝の実力を発揮。14歳6カ月7日の世界選手権勝利は、福原愛の最年少記録を塗り替えた。手応えも課題も得た「みうみま」は、さらに強くなる。【高田文太】