世界大会メダルが見えた-。女子高飛び込みで、7月の世界選手権(ロシア)代表の板橋美波(15=JSS宝塚)が日本女子最高の404・20点を出し、3メートル板飛び込みに続き2冠に輝いた。4本目に、女子では世界でただ1人武器にする「前宙返り4回半抱え込み」を成功。96・20点の高得点を挙げ、400点超えにつなげた。13年世界選手権金、12年ロンドン五輪の銀メダルの得点。5年後の東京五輪世代から世界の頂点を狙える選手が誕生した。

 夢じゃない。掲示板に404・20点の得点が出る。日本女子初の400点超えとなる高得点。15歳の板橋は「泣きそうになった」とプールサイドで目を潤ませた。男子の第一人者で4大会五輪出場の寺内健(34)は「五輪金メダル争いの得点。日本女子では前人未到の記録ですね」と所属の後輩の快挙をたたえた。

 1本目が失敗ジャンプも引きずらない。「あと4本は成功する」とイメージして切り替える。4本目には「前宙返り4回半抱え込み」を披露。世界の女子では自分しか成功していない必殺技を完璧に決め、96・20点。昨年9月の国体で出した378点の自己ベストを大きく更新する400点超えの高得点につなげた。

 日体大柔道部だった両親の肉体を受け継ぎ、体脂肪率は11%と男子並みの筋肉を誇る。ただ経験は少ないため、本番の弱さなどメンタル面に課題があった。転機は1月。テレビの企画で元フィギュアの織田信成氏、元体操の田中理恵氏らオリンピアンと対談。織田氏からは「失敗したことは忘れ、次が最初と思え」と切り替えの大切さを伝えられた。1本目に失敗したこの日も、その教えを生かすことができた。

 7月の世界選手権で12位以内なら、来年リオデジャネイロ五輪代表に内定する。もともとは20年東京五輪金メダルが目標だったが、この日の快挙で来年リオデジャネイロ五輪の代表どころか、メダル獲得も夢ではなくなった。いまだ五輪メダルのない飛び込み界に15歳の有力候補が誕生した。【田口潤】

 ◆板橋美波(いたはし・みなみ)2000年(平12)1月28日、兵庫・宝塚市生まれ。宝塚小1年の時にJSS宝塚で競泳を始め、3年で飛び込みに転向。御殿山3年だった昨年8月の全国中学大会では高と板の2冠を獲得。同9月の日本選手権では板で、最年少14歳で優勝。今年2月の選考会で世界選手権出場権を獲得。4月に兵庫・甲子園学院高に進学。同月のグランプリ・プエルトリコ大会は板で優勝。家族は元柔道選手の父秀彦さん(45)母美智子さん(44)と兄。151センチ、45キロ。

 ◆高飛び込み 飛び込み台の高さは10メートル。コンクリート製の飛び込み台からジャンプし、フォームの美しさと正確さを競う。速度は時速50キロ以上。ジャンプは男子6回、女子5回。演技の種類ごとに難易率(点数)がある。1回のジャンプで7人のジャッジが10点満点で採点。7人の採点のうち、上位2人と下位2人を除く3つの採点を合計し、難易率を掛けた値が得点。女子では1回のジャンプで100点を超える選手はあまりいない。女子は5回のジャンプの合計得点で争う。