高校最後の試合は悔いが残る「負け」となった。グランドスラム(GS)パリ大会男子100キロ級金メダルの飯田健太郎(18=東京・国士舘高)が4回戦で敗退し、全日本選手権(4月29日、日本武道館)の出場権を逃した。

 相手は飯田と同じ内股を得意とする丸山剛毅(24)。試合開始3分14秒、飯田が内股を仕掛けると丸山が倒れた。副審が「待て」の手を挙げたとして一瞬気を緩めた隙に技を返されて、十字固めで一本負け。呆気ない負け方でぼうぜんと天井を見上げた。「『待て』がかかると思ったけど、それが流れた。相手が最後まで集中していたし、一枚上手だった。自分が弱かっただけです」。ベスト8以上の全日本の切符を逃した。

 試合後、判定を巡って会場が少しざわついた。審判が今大会から採用したVTRを確認したが、判定は覆らなかった。岩渕公一監督は「納得がいかない」と憤りをあらわにする一方、「飯田も内股ばかり意識しすぎて技が単調だった。残念でならない」と悔やんだ。

 有効廃止などの新ルールが適用された先月のGSパリ大会決勝では、リオデジャネイロ五輪銅メダルのシリル・マレ(フランス)に内股で勝利した。「パリ大会で優勝して周りが研究していた。1回戦から内股を警戒されて(自分が)倒れる形が多かった。まだまだ足りないことがたくさんあるし、日本人に勝てないとダメ。初心に戻ってやり直します」。

 国士舘高の柔道着を着て出場する大会はこの日が最後となった。4月からは国士舘大に進学する。「全日本に出場して岩渕先生を喜ばせたかった…。先生には感謝の気持ちしかありません。高校3年間の集大成として臨んだけど、半分の力も出せなかった。残念です」と高校生活をしみじみと思い返すように話した。