フィギュアスケート男子の羽生結弦(22=ANA)が今季のショートプログラム(SP)に選んだショパンのピアノ曲「バラード第1番」について「もちろん曲についても思い入れは強くあるんですけれど、なんて言うんだろうな、割と自分でいられる。自分自身が曲と同化できるように思います」などと語った。

 16日、独立行政法人日本スポーツ振興センターがスポーツくじ(toto・BIG)理念広報サイト上で、羽生とピアニスト松田華音(かのん、21)の特別対談「一つひとつの音に想いをのせて、全身で楽曲を奏でる」が公開された。世界を舞台に活躍する同世代の2人の対談で、競技や演技についての知られざるエピソードも語られた。

 対談前には松田がショパン「バラード第1番」を羽生の目の前で演奏。隣の羽生は真剣な表情で立ったまま静かに聞き入っていたが、頭の中で曲をイメージしながら演技していたようで演奏後には「すいません、汗かいちゃったので。今、頭の中でずっと(ショートプログラムの演目を)やってたんですよ。緊張したー!」と、1度カメラを止めるよう願い出る一幕もあったという。

 2人の若き才能が、「表現」について語り合う様子は、スポーツ応援サイト『GROWING すべてのスポーツにエールを』(http://www.toto-growing.com/)から。

 羽生は「自分のスケートの芸術性の原点は、ロシアのきめ細かい文化だと思っています。そうした、自分が忘れかけていた原点を今回の対談を通じて思い出すことができ、とても有意義でした。松田さんのお話を伺って、6歳でモスクワに親子で出向かれ、現在の活躍に至る、この勇気にも感銘を受けました」。

 松田は「表現力、技術的なこと、そして体調管理、全てを整えて氷の上で全身全霊で成し遂げていく集中力の高さは、改めて想像を超えるものであり、心を打たれました。まっすぐにご自身と向き合い戦っていらっしゃる真摯(しんし)な姿、そして、それが出来る強さを持っていらっしゃる羽生選手から、大きな大きなパワーをいただきました」と、それぞれコメントしている。