レバンガ北海道が中地区5位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズを79-69で下し、11月4日の琉球戦以来35日ぶりにホームで白星を手にした。昨季途中から加入したルーキー関野剛平(23)が、自己最多22得点を挙げてこの試合のMVPを獲得した。5本の3点シュート成功と持ち前の強力ディフェンスで勝利に貢献し、新人賞獲得へ大きくアピールした。

 試合開始から41秒、正面からの3点シュートで“関野祭り”の幕が上がった。「1本目が入ったので、今日は全部自分がいってやろうと思った」。第1クオーター(Q)残り4分55秒、やや左から難しいジャンプシュートを決めると、全力で逆サイドに戻る。相手のパス回しを見極めてボールを奪い取ると、独走して再び得点。1Qだけで15点を奪い、波に乗った。

 道産子ルーキーがボールを持つたび、ホームに駆けつけた今季2番目、4035人のファンが固唾(かたず)をのんだ。この日決めた3点シュートは生涯初の1試合5本で、折茂武彦選手兼社長(47)を思わせた。放ったボールがリングを通過するたび、大歓声が上がった。「ファンの声のおかげで、ボールが少し伸びたんじゃないですかね。ガハハ」。試合後のインタビューも、ふるっていた。

 この日で今季151点に達した。現役大学生ながら日本代表にも選出されるA東京の馬場雄大(22)が今季170得点で新人賞最右翼だ。関野の守備は、幼少期に実家が営むオホーツク海での漁で焼けた肌と相手選手を追うスピードから、「黒ヒョウ」とも呼ばれる。その貢献度を考慮に入れれば、十分に新人賞獲りの逆転圏内にある。「新人王は狙っていません。ただ大学の時から馬場の動きは分かってますし、対戦すれば抑える自信はあります」と言い、ニヤリと笑った。

 テレビ解説で会場を訪れた日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長(47)は、関野について「驚いた。成長している。今日の2本のスチールはなかなかできない。ああいう目は、インターナショナルな試合向き。もっともっと細かいプレーを覚えていってほしい」と、将来の代表入りを期待した。水野宏太監督(35)も「剛平、今日はありがとう」と頭を下げた。

 次節(16日~)はアウェーで滋賀と対戦する。12月は1カ月で11戦と厳しい日程だが「僕が出場する時に相手を疲れさせて、いい環境で先輩たちの出番につなげたい。自分たちがチームを引っ張っていきます」と関野。最高の年越しへ、全力で走り続ける。【中島洋尚】

 ◆関野剛平(せきの・こうへい)1994年(平6)8月1日、湧別町生まれ。湧別小3年の時に兄の影響で競技を始める。湧別中から東海大四高(現東海大札幌高)に進み、3年の道高校選抜で国体3位。東海大4年で関東大学リーグ準優勝。位置はシューティングガード、スモールフォワード。家族は両親と兄。183センチ、80キロ。

 ◆Bリーグ新人規定 新人選手とは、外国籍選手に該当せず、かつ国内リーグ(NBL、bjリーグ、NBDL、B3)および海外リーグの在籍経験がなく、当該シーズンに初めてBリーグに登録された選手をいう。なお当該シーズン3月31日時点で22歳以下の選手は、B1およびB2リーグ戦の1シーズンの出場試合数が当該選手の所属するチームの行った試合の半分以下の場合、当該シーズンの翌シーズンも新人選手として扱うとしている。関野は昨季途中からプレーしているが、当時22歳以下でかつ試合出場数が60試合中21試合であるため、今季も新人として扱われる。