女子の大阪桐蔭が、悲願の初優勝を飾った。初進出同士の顔合わせとなった決勝で、総体8強の安城学園(愛知)と激突。2度の延長戦の末に、86-84で競り勝った。男子は、総体王者の福岡大大濠と明成(宮城)が、今日29日の決勝に進出した。

 噴き出た汗もあふれる涙もそのままに、大阪桐蔭の選手たちはメインコートの中央で抱き合った。創部8年目で初めて全国制覇を成し遂げた。創部当初から指揮を執る森田久鶴監督(59)は「子供たちが最後まで諦めずに戦ったことで、バスケの神様が降りてくれたと思います」と教え子たちをたたえた。

 高校バスケ史に残る大接戦だった。前後半の40分で決着せず、両チーム66点を奪い合って5分間の延長戦に突入。それでもなお勝負を分け合い、2度目の延長にもつれ込んだ。残り約2分半で185センチエース竹原レイラ(3年)が5ファウルで退場し、4点を追う展開に。だが「つらいときこそ自分が強気のプレーをしなければ」と鈴木妃乃(3年)が8本目の3ポイントを決めて重い空気を一掃した。さらに同点で迎えた残り6・7秒。竹原に代わった小林明生(3年)が「中学から一緒のレイラのために」と決勝の一撃をリングに沈めた。

 前夜、安城学園の映像を見ながら全選手が自分の役割を紙に書いて提案した。準決勝まで大会ランク2位の117得点を挙げた竹原が、厳しくマークされると想定。全員でカバーすることを確認した。17得点17リバウンドと攻守でエースの代役を果たした永井唯菜(3年)は「互いに声を掛け合った結果」という。アシスタントコーチを務める元日本代表の父雅彦さんと父娘で戦ってきた。「強気で行け、と言い続けてくれたおかげです」と感謝した。

 準決勝で涙をのんだ総体から4カ月。悔しさを胸に、全員で頂点に挑み続けた大阪桐蔭が、高校バスケ界に新たな歴史を刻んだ。