大黒柱が大記録を達成して勝利に導いた。新潟アルビレックスBBは三遠ネオフェニックスを85-73で破り、このカード1勝1敗にした。ポイントガード(PG)五十嵐圭(37)がプロ入り通算6000得点を達成。3点シュート5本を含むチーム最多の23得点をマークし、前日(17日)に66-88で敗れた借りを返した。新潟の順位は中地区4位のままだが、チャンピオンシップ(CS)圏に2位名古屋と2ゲーム差につけている。

 大記録へのカウントダウンは、新潟の勝利への道筋だった。6000得点まであと7点で迎えた第1Q、五十嵐は、いきなり得点量産態勢に入る。

 残り3分35秒、3分11秒と連続の3点シュートで5999点。そして20-14の残り1分51秒、右サイドから相手のブロックを越えて3点シュート。一気に6002得点に伸ばした。

 「個人の記録はうれしい。でも、大切なのはチームの勝利」。03年に旧スーパーリーグの日立で始まったプロ生活。15季目で到達した大記録は、勝つためのワンフレーズにすぎない。この後も3点シュートを2本追加し、第4Qにはドリブルから4得点。「自分の結果がいいと、チームの成績も良くなる」。チーム最多の23得点を挙げ、通算6016得点に伸ばした。チームは前日のリベンジに成功した。

 庄司和広監督(43)は「単に点を取るのではなく、全体を修正してくれる」と大黒柱を手放しで褒めた。前日、五十嵐は4得点。3点シュートは6本放ったが成功ゼロ。この日はまず相手の守備を攻略した。「前日は僕を左サイドに動かそうとしていた。それが分かったので、フェイクを使って右に動いた」と駆け引きで上回った。

 何よりも研ぎ澄まされていたのはゲームメーク。第1Qの開始44秒、インサイドのパワーフォワード(PF)ラモント・ハミルトン(33)にパスを通してアシスト。「あれで相手が収縮するようになった」。立ち上がりに内と外の両面を警戒させるシチュエーションをつくり、味方が攻撃しやすい流れに持っていった。

 中地区はCS進出争いが激しい。2位名古屋から5位富山まで4ゲーム差。新潟も食らいつく。前日の敗戦で連勝は5でストップしたが、この日は逆に三遠の連勝を7で止めた。「この状況の中で連敗しなかったのはチームが成長しているから。全員がCSを強く意識している。僕がもっと引っぱらないと」。CS進出に五十嵐が本格的に前面に出る。【斎藤慎一郎】