バスケットボールのB2仙台89ERSは6日、本拠地ゼビオアリーナ仙台で会見を行い、生え抜きポイントガード(PG)志村雄彦(35)の今季限りでの現役引退と、来季からの経営権移譲を発表した。地元仙台出身の志村は日本リーグ(JBL)東芝でプレー後、08年に当時bjリーグの仙台に入団。在籍10季目の「レジェンド」だが、来季の新体制移行に伴ってフロント入りを決断。爽やかな笑顔で引退会見を行った。

 志村は爽やかな表情で進退を明らかにした。「ユニホームを脱ぐ決断をしました。(仙台で)10年間、たくさんの方々に支えられてここまで来られた。正直、『まだやれる』という思いはありますが、毎試合勝負だと思ってプレーしてきたので悔いはありません」。

 昨季まで5季主将を務めるなど、チームを引っ張ってきた。シーズン途中の決断を後押ししたのは現在、プロ野球の楽天でコンテンツ部長を務め、新体制移行後に新社長に就任予定の渡辺太郎氏(38)だった。仙台高バスケットボール部の先輩で、「強いチームを2人で作ろう」と誘われた。志村は「バスケットに対する熱い思いを聞いてワクワクした」と、フロント入りに迷いはなかった。

 小学5年時、父に連れられて日本リーグを観戦したことが、選手になるきっかけだった。160センチの小柄な体で背番号「4」を背負い続けた。指導者への道は「たくさんのコーチを見てきて、僕みたいな自己主張の強い選手がたくさんいたらやりたくないな」と、現時点で完全否定した。

 一方で「(子供時代に)地元の人たちが応援する姿に感動して、自分もプレーしたくなった。同じような少年が仙台のユニホームを着てみたいと思ってもらえるチームにしたい。社会人として経験は未熟なので、営業でもファンサービスでも何でもやる。1年間はトイレ掃除からやりたい」と決意表明した。レギュラーシーズン11戦を残して、すでにB1復帰の可能性は消滅した。チーム再建の道は、チームを知り尽くす「レジェンド」の手腕に託された。【佐々木雄高】