女子は野中生萌(みほう、20=TEAM au)が2季ぶり3度目のワールドカップ(W杯)優勝を果たした。野口啓代(同)は決勝で野中らと並んで4課題(コース)全てをクリアしたが、完登に要したトライ数の差で3位だった。男子は16年世界選手権を制した楢崎智亜(TEAM au)が2位に入り、高田知尭(鳥取県協会)は5位。イエルネイ・クルーデル(スロベニア)が優勝した。

 パワー、柔軟性、バランス感覚。総合力を試す異なるタイプの課題を、野中は迷いなく冷静に登り切った。完登率が高かった決勝で、勝敗を分けたのはミスの少なさだ。例年より始動を早めて臨んだシーズンのW杯開幕戦。「確実にいけば登れると分かっていた。集中して登ることができた」と自信にあふれていた。

 3課題目までただ1人失敗なく完登すると、最後の課題は初の落下が出ても動揺せずに2度目でクリアした。16年8月のミュンヘン大会を最後に遠ざかっていたW杯優勝。ボルダリング日本一を決めるジャパンカップでは昨年、当時14歳の伊藤ふたばが史上最年少優勝を飾り、今年は第一人者の野口が女王の座を奪還した。20歳のクライマーには「私も負けてられない」と期するものがあった。

 出身地東京で2年後に開かれる夢舞台のオリンピック(五輪)はリードとスピードを含む複合で争われる。「3種目にチャレンジする」と位置づける今季、まずは最も得意なボルダリングで足場を固める。