平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)スピードスケート女子で、団体追い抜きとマススタートの2種目で金メダルを獲得した高木菜那(25=日本電産サンキョー)と金銀銅メダルの妹美帆(23=日体大助手)が22日、地元の幕別町で凱旋(がいせん)パレードを行った。約1万8000人の祝福を受け、特別町民栄誉賞も受賞。町の歓待に、2人はこの日限定で設置された「子どもふれあいゾーン」で交流を図るなど、地元からの将来の五輪選手誕生を待望した。

 祝福ムード一色に染まった凱旋パレードで、高木姉妹が、故郷へのとびっきりの感謝の気持ちを表した。中心部約1・2キロの公道で行われたパレードの終盤。菜那と美帆は黒のオープンカーから降り、中学生以下が集まる「子どもふれあいゾーン」に向かった。約400人とハイタッチを交わし、笑顔で合計5個のメダルを間近で見せた。

 思いを形にした。子どもたちだけの区域を設けるのは通常のパレードではない試み。菜那は「小さい子たちが夢に向かって頑張れるひとつのきっかけになれば」と話す。98年長野五輪で金メダルを獲得した清水宏保氏のパレードに、当時7歳だった兄大輔さん(27)が足を運んだ。「直接会ったことで夢をもらったと聞いていた」と美帆。今度は自分たちが与える番。町に要望し、より近くで触れ合える方法で実現した。

 パレードには町の人口の半数をゆうに超える1万8000人が集まった。菜那は「みなさんのおかげで金メダルを取って帰ってこれた。心に残るパレード」と感謝した。特別町民栄誉賞も受賞。プレゼント抽選会や、ダンス教室の生徒が披露した舞台に、実は事前に練習し飛び入り参加するなど恩返しも忘れなかった。

 22年北京五輪に向け、新しいシーズンに臨む。ナショナルチームは5月から始動する。痛めている右膝のリハビリ中である菜那は「テーピングを外して思い切ってできる状態に戻したい」。美帆は「これまでの4年間を超えると心の底から思わないと、簡単に五輪を目指すと口にできない」と気を引き締めた。町の期待を背負って、次のリンクに立つ。【西塚祐司】