テニスの不正を監視するために国際連盟(ITF)など主要4団体が設置した独立委員会は25日、調査の中間報告を発表した。賭博サイトの広がりを背景に賞金総額が少ないツアー下部大会で、八百長や賭け事がまん延していることが明らかになった。すでにITFは、八百長防止のために来年からツアー下部大会のシステムを変更することを決定しており、多くの日本選手に影響を与えそうだ。

 個々の無名選手が、八百長や賭け事で裁かれたことはあっても、テニス界で公的機関が「八百長の横行」を認めたのは初めてだ。独立委員会は、16年から約3200人の男女プロ選手を調査し、約100人の選手や約200人の関係者から聴き取りを行い、「ツアー下部大会で八百長がはびこっている」と結論づけた。

 特に男子でツアー下部大会最下部のフューチャーズでは「1大会で4~5試合は、日常的に八百長が行われていた」と話す関係者もいたという。同シリーズは賞金総額が1万5000ドル(約165万円)から2万5000ドル(約275万円)。優勝しても約25万円しか得られない。

 同シリーズを統括運営するITFによると毎年、1万4000人ほどがプレーし、男子は350人ほどしか生活がなり立っていないという。それが八百長の温床になっていると判断。19年から八百長撲滅のツアー改革に乗り出す。

 同シリーズの最低賞金額の大会は、世界ランクのポイントが取れなくなる。つまり、その選手は4大大会を頂点とするATPツアー出場への道が閉ざされる。プロ選手を継続していくことが厳しくなり、自然淘汰(とうた)されるという図式だ。

 最新世界ランクに掲載されている日本男子は74人。そのうち、60人以上がフューチャーズを主戦場としている。19年以降は60人が世界ランクから姿を消す可能性もはらんでいる。日本選手にとっても、大きな影響を及ぼす変更となる。最終報告書は年内に発表される見込みだ。

 ◆テニス界の八百長 毎年、数人の無名選手が八百長で摘発されている。今回も独立委員会は、トップ選手の八百長の証拠はないとしているが、昨年の1月、ジョコビッチが八百長に手を染めたという報道もあった。日本選手では、昨年5月に、元ジュニア日本代表の三橋淳が八百長などを持ちかけた不正行為で、テニス界から永久追放を受けた。日本選手の摘発は三橋1人しかいない。