アメリカンフットボールの定期戦での悪質な反則行為で関学大の選手を負傷させた日大の選手が22日、都内の日本記者クラブで会見を行った。会見に出席したのは日大の宮川泰介選手(20)。丸刈り頭で報道陣の前に登場。反則行為から会見までの経緯を説明した。

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 ◆5月6日 試合後に4年生と先発メンバーが集められ、内田前監督が「自分がやらせた。こいつが成長するならそれでいい。相手のことを考える必要はない」と話し、内田前監督は選手に向けて「俺がやらせたと言え」と指示される。井上コーチからは退場後に泣いていたことに「優しすぎるからダメだ」と責められる。

 ◆7日 被害を受けた関学大QBが右膝軟骨損傷と腰の打撲で全治3週間の診断受ける。後に左脚のしびれを訴える。

 ◆8日 宮川選手は「あんなプレーをして、続けられるとはとてもでも考えられない」と退部を決意。監督と面談した際に退部の意思を伝えると「(試合中に退場処分になったから)お前の処罰はもう終わっている。世間は監督をたたきたいだけだから気にしなくていい」と説得される。監督が退席後、話を聞いていた井上コーチと鈴木コーチと3人で話し合いが行われ、「(関学大との)定期戦はなくなっていい」など辞めないでほしいと引き留める。

 ◆9日 森ヘッドコーチからも辞めないように説得される。

 ◆10日 関学大アメフト部から日大アメフト部へ反則行為についての申入文書が提出される。

 ◆11日 内田前監督、井上コーチ、宮川選手と両親で面会。父親は「個人的に選手と家族に謝りたい」と申し出るも、内田前監督から「今はやめてほしい」と言われる。父親が今回の件を公表するように言うも「それはできない」と拒否される。面会後、井上コーチが父親に関学大に謝罪しに行くことを伝え、宮川選手も同行することとなる。

 ◆12日 関学大の鳥内監督らが会見。宮川選手は井上コーチと関学大まで謝罪に行くも、申入文書の回答ない限り応えられないと関学大側に拒否され、謝罪できず。

 ◆14日 井上コーチから呼び出され、父親と3人で面談。その後は宮川選手と父親の2人で関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会から聞き取り調査を受ける。

 ◆15日 日大側の回答書が出る。宮川選手の父親が弁護士に相談する。

 ◆16日 父親が相談した弁護士と詳細な聞き取りを行う。またチームの幹部とともに日大から呼び出されるも、弁護士の判断で断る。

 ◆17日 関学大が会見を行う。弁護士側が関学大関係者に「個人的に謝罪したい」と交渉し、翌日に謝罪するで合意。

 ◆18日 大阪府内で父親とともに関学大QBの被害選手及び家族のもとに直接訪問して謝罪する。日大が宮川選手の担当弁護士に「21日に本人から聞き取りをしたい」と連絡し、合意する。

 ◆19日 内田前監督が関学大に直接謝罪し、監督辞任の意向を示す。

 ◆20日 関東学生アメリカンフットボール連盟の規律委員会から再度聞き取り調査を受ける。参加者は宮川選手、父親、弁護士の3人。

 ◆21日 日大が内田前監督の辞任届を受理。予定通りに日大が宮川選手を聞き取り調査を行う。被害者選手と家族が被害届を提出し、夕方に被害者父親が会見を開く。