伝統の自動車耐久レース、第86回ルマン24時間は17日、フランス西部ルマンで決勝が行われ、トヨタが中嶋一貴らの8号車で初優勝した。日本のチーム、マシンで日本人ドライバーを含む“オール日本”態勢では初めてで、日本メーカーでは91年のマツダ以来2度目となる。ことし、最上位のLMP1クラスに参戦した自動車メーカーはトヨタ1社。ポールポジションからスタートした8号車は、序盤から小林可夢偉らの7号車とともに3位以下を引き離し、安定したレース運びでゴールした。

 過去5度も2位に甘んじ、2年前は優勝目前の残り約3分でマシントラブルに泣いた。苦い経験を重ねてきたからこそ、喜びは格別だ。チェッカーフラッグを受けた8号車の中嶋が言った。「ちょっと時間がかかりすぎたけど、悲願を達成できて良かった」。トヨタ20度目の挑戦。過酷な24時間を走り抜いた。

 アウディ、ポルシェの相次ぐ撤退で形勢は優位だったが「何が起こるか分からない。気を抜くことなく戦えた」という。一筋縄ではいかないのが世界3大レースの1つ、ルマン。2台がリタイアした昨年の反省から部品を1つ1つ見直し、勝てる車を整えた。

 最高峰のLMP1クラスで半数がリタイアした中、ハイブリッド車(HV)のトヨタ勢は先頭を譲ることなく安定した走りでワンツーフィニッシュを果たした。「自分たちとの戦いだと思っていた。何の問題もなく走り切れた」と日の丸を誇らしげに掲げた中嶋。日本の底力を、ようやく世界に示せた。