スポーツ庁の鈴木大地長官(51)は8日午後、日本ボクシング連盟の山根明会長辞任を受け「遅きに失した感はあるが、1歩前進」ととらえた。会長の選手に対する「東京オリンピック(五輪)に参加できなくても、次の五輪もあります」という発言には「そんなことを考えているようなら、辞めてもらってよかった」とあきれ顔。「選手には東京五輪で頑張ってもらいたい」と、予定通りに実施されることを強調した。

 確かに、国際オリンピック委員会(IOC)は国際ボクシング協会(AIBA)のガバナンス(組織統治)や審判の判定問題で東京五輪からの競技除外を検討中。7月のIOC理事会でも継続審議とされ、11月の理事会で再審議される。しかし、これは今回の問題とは別。AIBAに対する「改善要求」でもあるし、現状では東京五輪実施へ準備は変わらず進んでいる。

 だからこそ、長官は「まず日本からしっかりやること。(東京五輪の)お膝元の連盟がしっかりやることが大事」と強調。ボクシング界再建に向けて「誰がトップになるにしても、間違った方向に進んだときに『違うでしょ』という議論ができる組織に」と求め「選手が公平、公正に試合に臨める環境作りをしてほしい」とアスリートファーストの視点で話していた。