スイッチが入った-。ジャカルタ・アジア大会柔道男子73キロ級金メダルの大野将平(26=旭化成)が3日、成田空港に帰国し、さらなる成長を誓った。

決勝では世界選手権銅メダルの安昌林(韓国)に11分9秒の激闘の末、勝利した。「我慢強く、執念をもって粘り強く戦えたのは大きな収穫。結果として勝利をものにすることが重要だった」と強調した。

2年後の本番に向けて、金メダルを獲得した16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)と20年東京五輪での準備の仕方は異なるという。「年齢を重ねてコンディションも変わってきた。今は自分自身を実験台にして、柔軟に探りながらピーキングを持っていっている。飽きないし、楽しい」。しかし、王道の柔道家としての熱い思いは変わらず「リオ五輪までは『普通に柔道をしたら(大野には)勝てない』というところまではきたと思う。これからは『何をやっても(大野には)勝てない』と思わせることが重要で、それが本物のチャンピオンであり、本物の柔道家であると思う」と独自の価値観を示した。

アジア大会の個人戦や男女混合団体戦などではルールや判定を巡る問題が多々あった。「審判の判定ばかりが話題になっているが、アジア大会は普段の国際大会とは違うのを(自分は)理解した上で戦っていた。冷静に戦えたし、(自身の決勝も)互いに攻める中で、ポイントがある、ないが積み重なっての最後のポイントだと思っている」と、リスクマネジメントの重要性も訴えた。

五輪王者であり、初のアジア王者に輝いた。「ニュータイトルはモチベーションになる。持っていないタイトルは欲しい。五輪と似たいようなプレッシャーもあり、良い意味でスイッチが入って良かった」。

今年の世界選手権(20日開幕、アゼルバイジャン)代表は逃したが、アジア大会を制したことで11月のグランドスラム・大阪大会(19年世界選手権代表選考会)の出場権を獲得した。「関西はホームだから自分自身も楽しみ」。真っ向勝負を好む26歳の五輪王者が、執念と進化で代表権を奪還する。