競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)が衝撃的な白血病の公表から一夜明けた13日、再びSNSを更新した。約450文字に思いを込め、世界中に広がる祈りの輪に感謝を述べるとともに、胸の内をつづり「必ず戻ってきます」と力強く結んだ。治療を最優先に入院中で練習再開は未定ながら、20年東京オリンピック(五輪)の夢を抱いて、過酷な現実と向き合う。

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まっすぐに相手の目を見て答える。「池江璃花子」といわれて、真っ先に思い浮かぶ姿だ。有名アスリート、特に子どものころから注目を浴びた選手には、いつもうつむきがちな選手がいる。日常的に多くの大人たちに囲まれるストレスを考えれば、しかたない部分がある。だが池江のそんな姿は見たことがない。どんな質問でも誠実に答える。

3人きょうだいの末っ子。子どものころは「私を見て」「璃花子のことが好きじゃないの?」とせがみ、きれいな絵を見れば「私にも描ける」と胸を張った。とにかく負けず嫌い。昨年5月、三木コーチと初めて会って、100メートルバタフライの16年リオ五輪金メダル、サラ・ショーストロム(スウェーデン)の名を挙げて「私、サラ選手に勝てますか?」と聞いた。世界記録保持者が相手でも負けず嫌いは変わらない。志を高くもち、苦しくても誠実に歩んだ。

プールを離れれば、明るい女の子。仲がいい平泳ぎ今井月とお互いに化粧を塗りたくって「ブルゾンちえみごっこ」で笑い合う。昨年はぷにょぷにょしたスライム作りに熱中。丼の中に材料を入れて「私は絶対あきらめない…」とぶつぶついいながら、ぐるぐるとかき混ぜた。何事にも誠実に向き合う姿勢が、多くの人を引きつける。18歳は身の上に起こった過酷な現実にも誠実に向き合うだろう。今はただその誠実さが報われることを祈っている。【五輪担当=益田一弘】