まさかの敗戦だ。新女王の大坂なおみ(21=日清食品)の世界1位としての記念すべき初戦は、苦い1敗となった。昨年の大会初戦で勝った同67位のクリスティナ・ムラデノビッチ(フランス)に3-6、3-6でストレート負け。優勝した1月の全豪以来の試合が、まさかの敗戦となった。

第1セット、1度のガッツポーズも出なかった。逆に点を取られても、1度しかラケットを投げなかった。笑顔さえ見られ、勝敗を度外視し、好きなようにプレーする。その様に見えた。

第1ゲームを40-15から落とした。第2ゲームは2本連続のブレークポイントがあったが取れなかった。その2ゲームでリズムが狂ったのか、3ゲームを連取された。そのまま3-6で第1セットを先取された。

さすがに、第2セットは負けじ魂が顔をのぞかせた。第2ゲームでバックをミスすると、座り込んでサンバイザーで顔を覆った。サーブの前に考えすぎ、時間を取り、時間超過で警告を受けた。先行されてはブレークで追い上げる。会場は「オオサカ」コールが響き、新女王を盛り上げる。それでも集中力は戻らなかった。

大坂は12日、短文投稿サイトのツイッターで、18年全米、19年全豪の優勝を後押ししたサーシャ・バイン氏と、コーチ契約の解消を明らかにした。17日には、会見で「成功より、自分が幸せでいることが大事だった」と解消の理由を説明。「金銭が原因といううわさには一番、傷ついた」と、こちらはきっぱりと否定した。

今大会は個人専属のコーチはなしで挑んだ。「16歳の頃から助けてくれている」という日本テニス協会の吉川真司女子代表コーチが指導役としてつき、アブドゥル・シラー・フィジカル担当、クリスティナ・スター理学療法士も、従来どおりサポートした。

調子が悪くても、気持ちが乗らなくてもベンチに呼ぶコーチはいなかった。最後は、ムラデノビッチのバックが抜けていくのを、追うこともせずに見送った。ツアーを統括するWTA(女子テニス協会)会長までが見守った新女王の初戦。その心の内は、誰も知るよしがない。