東京五輪の超新星だ。男子高飛び込みで、中学1年生の玉井陸斗(12=JSS宝塚)が、474・25点でシニアデビューVを飾った。回転の速さを武器に、高難度の技を連発。2位に60点以上の大差をつけた。日本水連によると、12歳7カ月での優勝は、94年に中2で日本選手権を制した寺内健(38)を上回る史上最年少。世界選手権(7月、韓国)は国際水連の年齢制限ルールで出場できないが、来年の東京五輪は出場可能。飛び込み界に驚異の12歳が誕生した。

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末恐ろしい12歳だ。4月に中学生になったばかりの玉井が、最後の6本目に出場選手中で最高の91・80点で最年少V。しかも日本水連が定める国際主要大会8位がめどの463点を上回った。17年世界選手権では、7位相当の474・25点に「めちゃくちゃうれしい。優勝を狙っていました」とうれし涙を流した。

世界レベルの種目構成だ。前宙返り4回転半抱え型(109C)など、高難度の技を6本そろえる。143センチ、36キロの身軽さもあり、回転スピードと正確な入水が武器だ。同じJSS宝塚で練習する五輪5大会出場の寺内も「(世界最強の)中国人選手を倒せる。同年代でこの難度を、このクオリティーでできる選手は世界にいない。初めて高飛びで世界チャンピオンを目指せる選手」と太鼓判を押した。

兵庫県宝塚市生まれ。3歳の時にJSS宝塚で競泳を始めた。小1で飛び込み教室を体験してはまった。「ノースプラッシュ、しぶきが立たない技ができると快感」。13年世界選手権代表の辰巳楓佳コーチの指導で成長し、小5から板橋、寺内らと同じ馬淵崇英コーチに師事。昨年5月から高飛び込みに本格的にトライ。「109Cが入った時に日本一になれるんじゃないか、と思った」。わずか1年で日本一になって、辰巳コーチは「109Cは最初から形になっていた。ロケットのような成長速度」とうなる。

年齢制限で世界選手権には出場できないが、東京五輪は出場可能。「夢は五輪でメダルをとることです」。五輪開催が決定した13年9月8日はまた6歳で「記憶にないです」。東京五輪は13歳10カ月で迎える。前回リオ五輪は15歳の競泳、酒井夏海が日本選手団最年少だった。まだ声変わりしていない12歳が飛び出してくれば、東京五輪の日本選手団最年少選手になる可能性がある。【益田一弘】