体操女子の1980年モスクワオリンピック(五輪)代表の笹田弥生さん(ささだ・やよい=旧姓加納)が28日午前5時55分、肝不全のため都内の病院で亡くなった。56歳。東京都出身の笹田さんは国学院高1年の78年の全日本選手権で史上最年少の15歳で優勝。80年の五輪選考会も1位通過したが、ソ連のアフガニスタン侵攻を理由に日本が大会をボイコットしたため出場できなかった。

現役時代は全日本で3度優勝し、世界選手権に4度出場したが、84年ロサンゼルス五輪も国内選考会で9位に終わり出場を逃した。引退後は母校の日体大のコーチなどをへて、国学院大の准教授として教壇に立っていた。長女の夏実さんも13、14年の全日本を連覇して世界選手権に出場した。

近年は体調を崩していたが、20年東京五輪決定後「モスクワの幻の代表で力になりたい」と、元代表選手にアンケートを実施するなど精力的に活動。18年1月には国連の明石康元事務次長らとともに都内で会見し「戦争の影響で五輪に出場できなかった自分たちのようなつらい思いを選手にさせてはいけない」と日本スポーツ学会が実施した五輪休戦運動への署名を訴えた。

葬儀・告別式は6月4日午前11時から東京都渋谷区西原2の42の1、代々幡斎場で。喪主は夫茂和(しげかず)氏。