NBAドラフトでウィザーズから1巡目、全体9位の指名を受けた八村塁(21=ゴンザガ大)が日本代表を率いて125億円軍団に挑む。2月にアジア予選を突破し、21年ぶりに自力でのW杯(8月31日開幕、中国)出場を決めた日本代表は1次リーグでトルコ、チェコ、米国と対戦する。世界ランキング1位の米国との第3戦では2次リーグ進出をかけた大一番となる可能性がある。世界が注目する試合で八村がその存在をアピールする。

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八村の次なるターゲットは8月のW杯、そして来年の東京五輪だ。NBA選手として初の公式戦。特に2次リーグ進出がかかるかもしれない第3戦の米国戦は現在の実力を測るには格好の相手だ。実力を示せば44年ぶりに出場する東京五輪にも大きな自信になる。

ドラフト後の会見で八村は「日本人としてバスケットをやってきた。日本のバスケットは通用しないと言われていた中、NBA選手が2人(八村、渡辺)になる。世界に通用するんだと見せられるのではないか」と意気込んだ。1巡目指名のプライドを持って、スター選手がそろった米国にひと泡吹かせ、世界中に実力をアピールする。

米国は11日に代表候補20人を発表。ファイナルでも活躍した最高年俸のステフィン・カリー(ウォリアーズ)やレブロン・ジェームズ(レーカーズ)らは外れたが、18年シーズン最優秀選手のジェームズ・ハーデン(ロケッツ)ら強力メンバーが集結した。先発が予想される5人の年俸は合計約123億円にもなる。

そんなエリート軍団に日本も過去最強ともいえる布陣で対抗する。八村だけではない。昨年NBAデビューを果たした渡辺雄太(グリズリーズ)、Bリーグ初の年俸1億円に到達した富樫勇樹(千葉)や、4月に日本国籍を取得したニック・ファジーカス(川崎)、先週、マーベリックスのミニキャンプに参加した馬場雄大(A東京)や比江島慎(栃木)ら国内組にも期待がかかる。日本代表のラマス監督は米国戦について「今まで1度もないトップチームとの対戦。勝てる要素は少ないが、個人の成長あってのチーム。まだチーム力は上がる」と語った。

八村は18年のアジア1次予選の5戦目から4試合に出場。4連敗で崖っぷちだった日本を救い、その後の8連勝での突破に貢献した。ラマス監督はW杯での中心人物として八村を1番手に挙げた。「恐怖心を持たずにチャレンジするのでNBAの選手にも十分通用する。主導権を持ってチームを引っ張って欲しい」と期待を込めた。

ラマス監督はW杯での躍進で来年の東京五輪につなげるつもりだ。「大きな一歩を踏み出せたが、次の大きなステップを踏み、もっと完璧に近いチームを作る」。海外組も含め日本代表は7月下旬に集結。8月に5試合をこなして本番に挑む。【松熊洋介】