アーティスティックスイミング(AS)デュエットTR決勝で、乾友紀子(28=井村ク)吉田萌(24=ザ・クラブピア88)組は、痛恨の4位発進となった。

ロシア、中国に次ぐ3位を争うウクライナに0・4731点差をつけられて92・1116点。井村雅代ヘッドコーチが掲げた「デュエットメダル2個」の目標が崩れた。17年ブダペスト大会で五輪種目1勝3敗と負け越した相手に押される流れとなった。

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日本のお隣、韓国で厳しい試練が訪れた。井村HCは「どこかで流れを覆さなきゃいけない」と強い口調で言った。最初の五輪種目でライバルのウクライナに敗北。このままずるずる引き下がれない。

わずかな乱れが致命傷になった。乾と吉田の高さがそろわない。採点の40%を占める規定要素が12日の予選より下がった。完遂度、印象度、規定要素の3要素すべてで相手に上回られた。吉田は「力強く泳ごうとしたが、高さで乾選手との差がよく見えたかもしれない」。井村HCも「予選では吉田も『ここまでできるようになったか』と思ったが、1番見せてはいけないものを見せた」と振り返った。

東京五輪を見据え、絶対に欲しいメダルだった。16年リオ五輪で銅。東京五輪は銀以上を掲げた。だが前回大会で2位中国に迫る前に、4位ウクライナに追い上げられた。今大会は3位の格付けを確保することが目的。井村HCもデュエット2、チーム1のメダル目標を掲げたが、その青写真は最初の種目で崩れた。技術重視のデュエットTRは「日本の土俵」ともいえる種目。今大会の今後を占う上でも痛恨の4位発進といえる。

正確な技術の日本か、迫力のウクライナか。井村HCは12日に「シンクロ(AS)はパワーの種目になった。突き刺すような勢いが必要」とした。最初の種目で敗れても、その方向を変えるつもりはない。「そこは絶対、絶対条件です」。エース乾も「少しでも大きく、強く見せようというのは最後まで求め続けて狙っていきたい。戸惑いはない。やるだけです」。五輪種目の残りはデュエットFR、チームTR、同FR。この3種目でやり返すしかない。