レスリングの世界選手権(カザフスタン)男子グレコローマンスタイル60キロ級代表で17年世界王者の文田健一郎(23=ミキハウス)が、試練の組み合わせに配された。16日の予選ラウンド開始に合わせ、15日に抽選が行われ、2回戦からの登場が決定。初戦を突破すると、3回戦では16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)銅メダルのエルムラト・タスムラドフ(ウズベキスタン)が待つとみられる山分けになった。

昨年大会63キロ級2位の中央アジアの雄とは、4年ぶりの再戦になる。15年の国際大会で戦い、フォール負けを喫した。組み合って投げられた唯一の相手で、大会前には名前を挙げて最警戒していた。雪辱機会をもらったと前向きにとらえ、攻略することができるかが問われる。

西口強化本部長はタスムラドフを「天才。猫みたい。2階から落ちても着地するタイプ」と評した。文田もたぐいまれな柔軟性と猫好きからにゃんこレスラーと相性を持つが、「猫対猫の対決やな」と激突をにらんだ。

10日に日本をたつ際には、基本を見つめ直すと宣言していた。「前に出ることをもう1度しっかり意識していく」。上半身の攻防で勝敗を決めるグレコローマンにあって、前にでて圧力をかけていくことで試合を有利に進められるのは基本。ただ、「いままでも『前に出ろ』と言われてきたけど、投げられていた部分があった」と、得意の投げ技に偏っていた思考を内省した。4月のアジア選手権では北朝鮮選手に敗れるなど、海外勢からも研究されているだけに、基本に返り勝機を作り出す。

今大会は表彰台で東京五輪代表に内定する。太田との激しい国内でのライバル争いに勝ち、つかんだ挑戦権だけに、みすみす逃すわけにはいかない。強敵を打ち破り、2年ぶりの頂点に駆け上がる。