レスリング世界選手権女子57キロ級で金メダルを獲得し、東京五輪内定を決めた川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)が23日、成田空港に帰国し、取材に応じた。優勝直後は62キロ級で出場している妹友香子が3回戦で敗れていたため、素直に喜べなかったが、その後姉妹での五輪出場が決まり、同じホテルの部屋で祝福し合った。川井梨は「うれしいの一言。本当によかった」とホッとした表情で語った。

友香子は、大学の教育実習のため、1日早く22日に帰国。川井梨は今後、29日の代表合宿に向けて調整するため、妹と会うのは早くても3週間後だという。2人でのお祝いは大好きな歌手・倖田来未のライブに行くことだ。特に川井梨は「他の曲は聴かない」というほど熱狂的なファン。倖田本人ともリオ五輪後に会って以来親交があり、大会に応援に来てくれたこともあるという。優勝後には「おめでとう」と直接メッセージをもらった。「すごく喜んでくれてうれしかった」と笑顔で語った。

吉田沙保里さんが引退し、同階級の伊調を破って代表の座を勝ち取った今大会は主将に指名された。「自分は(吉田)沙保里さんや(伊調)馨さんのように成績で引っ張るレベルではない。同級生の(土性)沙羅たちと一緒にみんなで盛り上げていけば、ついてきてくれる」とチーム一丸となって戦っていく。

女子の金メダルは自身の1個だけと、チームとして納得の成績ではなかったが、以前に吉田さんから「ものは考えよう。悪い方には考えてはいけない」という言葉を思い出し、前を向いた。「たくさん金を取って次もいけると思うよりも、自分も含めて課題が見つかったので、下からはい上がっていく気持ちの方が強いと思う」と力強く語った。

今後の予定は決まってないが、昨年から始めたウエートなど身体作りを中心に調整する。目指すはもちろん姉妹での金メダル。「優勝したからといって五輪で勝てるとは言えない。気を引き締めて頑張る」。川井梨は大好きな倖田来未の曲で士気を高めながら、偉大な2人のようにリーダーとして女子レスリング界を引っ張っていく。【松熊洋介】