女子決勝は、明成が66-59で8連覇中だった聖和学園を破り、9年ぶり7度目の優勝を果たした。

堅い守備からの素早い攻撃で序盤から点差を広げ、春の県総体に続く県制覇。男子決勝は明成が80-65で利府を退け、8年連続13度目の頂点に立った。12月23日開幕の全国選手権(東京・調布市武蔵野の森総合スポーツプラザ)は、今大会から各地区ブロック大会優勝県に1枠加わるため、6月の東北選手権で明成が優勝した男子は、準優勝の利府も初出場を決めた。

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明成が走って、走って、9年ぶりの歓喜に沸いた。スタンドには卒業生や家族、控え部員の大声援。第4クオーター(Q)終盤に2点差に迫られても、小林杏奈主将(3年)が冷静にファウルを奪い、フリースローで加点。第3Qにも最大20点差を15連続失点して詰め寄られたが、「うまくはいかないし、相手も捨て身の覚悟で来ると思っていた。笑っていたのは無意識ですけれど楽しかったです」。苦しい場面も笑顔でチームを導き「先輩や親など、自分たちの代で全国に行くことが恩返しになると思って走りきりました」と仲間と喜びを分かち合った。

培ってきた懸命な守備でも貢献した小野寺璃珠(3年)は亡き恩師への思いを背負っていた。仙台・五城中3年時には相原ゆい、門奈保花(ともに3年)と全国を経験。だが約1年後の17年9月、監督だった菅野貴久江さんが他界した。小野寺は「菅野先生に成長した姿を見せたくて頑張ってきた」。前夜には同監督から授かったノートをめくった。「『なんとかなるさは、なんともならない』っていう言葉を見直しました」。そこには全国大会予選リーグで0勝2敗時に記された「全国に来て終わりじゃない。次は全国優勝」の文字も。この日は同監督が「神様」と称していた、ぬいぐるみもスタンドに。「先生がいてくれたので心強かった」と3人でギュッと抱きしめ、勝利を報告した。

10年の全国総体4強が全国最高成績。ベスト4を目標に、今夏の全国総体2回戦敗退の雪辱も期す。「つらい坂道ダッシュを繰り返してきた。みんな背は高くないし、スーパープレーは出来ないけれど、走り勝ちたい」。期待を背負い走り続ける。【鎌田直秀】