男子は部員9人の相馬が、3年連続同カードとなった福島商との対決をフルセットで制し、王座を奪還した。

ウイングスパイカー立谷純太郎(3年)が得点を量産し、2年ぶり21度目の制覇に貢献。女子は郡山女大付が聖光学院をストレートで下し、4年連続21度目の優勝を決めた。両チームは東京で来年1月5日に開幕する「春高バレー」に出場する。

   ◇   ◇   ◇

フルセットの死闘に決着をつけたのはエースだった。相馬は5セット目開始から6連続得点で主導権を握った。そしてマッチポイントを迎え、立谷はストレートを選択。「最後の得点は強打で決めてやろう。体力的にきつかったが、みんなが信頼してつないでくれた。決めるのは自分。何が何でも打ち切ろう」と気持ちを込めたスパイクは、相手コートに突き刺さった。その瞬間、喜びと疲労感から選手たちは一斉にコートに倒れ込んだ。

相馬は1、3セットを制したが、2、4セットを落とした。4セット目は最大12点差をつけられたが、6点差まで縮める意地を見せ、5セット目に勢いをつなげた。立谷は「4セット目を落としたが次取れば春高とイメージしていた」と焦りは全くなかった。小学生時代、相馬が春高で躍動する姿をテレビで見て「相馬で春高」という夢を持った。そして2年前にそれがかない、1年生で唯一、憧れの舞台に立った。

福島商は相馬の壁になってきた因縁の相手だった。今夏の県高校総体決勝、昨年の県高校選手権決勝でいずれもストレート負け。それでも全員バレーでリベンジを果たした。「去年、春高に出られなかったショックは大きかったが、少ないながらも9人で団結してやってきて良かった。福島商とか敗れたチームの思いも背負って戦いたい」。現チームは3年が4人、1、2年が5人。3年が抜けると単独チームが組めなくなるため、春高は新入部員へのアピールの舞台でもある。全国の強豪への下克上を誓い、“相馬ナイン”が果敢に挑んでいく。【山田愛斗】