「福岡の熊」がオリンピック(五輪)再挑戦の切符をつかんだ。男子フリースタイル97キロ級の赤熊猶弥(28=自衛隊)が決勝で山口剛(30)を2-0で下して3度目の優勝を果たし、東京五輪代表がかかる3月のアジア予選(中国)行きを決めた。
9月の世界選手権では試合中のけがで初戦敗退。五輪の出場枠も獲得できなかった雪辱を果たしにいく。125キロ級は田中哲矢、グレコローマンスタイル97キロ級は奈良勇太がアジア予選に進む。
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「熊って呼ばれますね。怖い方の熊でお願いします」。試合後、親族しか聞いたことがないという珍しい名字「赤熊」ゆえの呼ばれ方を説いた。汗が噴き出る分厚い肉体。その風貌も野性味あふれる男は、試合でも相手にとっての怖さを全面に戦った。
山口との決勝。幾多の試合経験があり、手の内は知り尽くす。組み手で頭を抑え、隙を与えない。タックルに入れば返される-。そんな恐怖、重圧を与え、優位に立った。相手の消極性から加点し「内容には納得していない。タックルに入れなかった」と首は振ったが、「プレッシャーでは勝った」と勝負をつけた。
9月の世界選手権。表彰台で東京行きが決まる大一番は、3分弱で終わった。初戦で左足首の靱帯(じんたい)を損傷。試合は続行したが完敗し、足を引きずり帰国した無念を晴らしにいく。リオ五輪では代表の高谷に帯同し、練習場では「陣取り」で敵と戦った。「スペースから戦いは始まっていた」。そんなヒリヒリする戦いの場で自分も戦いたいと誓った。
福岡県出身、高2まではサッカー選手。当たり負けしないセンターバックの体の強さを見込まれ、レスリングへ。「1人ですし、本当の自分の力を試せるじゃないですか」。五輪こそが最高の場だ。【阿部健吾】


