秋田中央(秋田)が大逆転勝利で初戦を突破した。スタメンに2人、リザーブに2人のトンガ人留学生を擁する高知中央(高知)に対し、前半はそのスピードとパワーにてこずり5-24。後半から持ち前のバックスの走力を生かす戦法に切り替えると3トライを奪い、19点差を見事逆転した。

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前半、大量リードを許しても「泣く子」はいなかった。秋田の重要無形民俗文化財「なまはげ」も応援に駆けつける中、秋田中央フィフティーンが、底力を見せた。前半は陣地の確保を優先、キックを多用したが、高知中央のトンガ人留学生のパワーとスピードの前に、カウンターからの突破を再三許した。ラックやモールでも主導権を握られ、11分までに2トライを奪われた。15分にロック木村開(3年)がトライを返したが流れは変わらず、さらに2トライを許した。

後半からはキックを捨て、持ち前のつなぐ展開ラグビーでマイボールの時間を増やした。「後半最初にとらないと逆転できない」と誓い合い、言葉通りに2分、WTB高橋恵達(2年)が、4分にSO高桑稜(3年)が立て続けにトライを決めた。しかし、11分にCTB宇佐美一颯(3年)が足首を負傷し担架で運ばれるアクシデント。古谷和義監督(50)は「これで引退になるかもしれない。宇佐美の分も頑張ろうよ」と選手を鼓舞。15分にSH柴田祥太郎(3年)が飛び込み、WTB佐藤亮吾(3年)がキックを決め、ついに逆転に成功した。

留学生対策も抜かりはなかった。地元のトップイーストリーグ所属の「秋田ノーザンブレッツ」との合同練習で大人相手に鍛えた。さらに、東北6県の代表が宮城・石巻に集まった11月の合宿では、青森山田(青森)のトンガ人留学生のパワーを体感し、本番に備えていた。

昨年は石見智翠館(島根)に初戦敗退。「あの悔しさを忘れず1年間やってきた」(船木真夢主将=3年)。体力強化を目指し、食トレとウエートトレーニングにも励んできた。NO8菅原琉貴弥(3年)の実家で作るお米「ミルキープリンセス」を炊き、1日2キロ食べることをノルマにサイズアップ。低く鋭いタックルを最後まで貫き、劣勢をはね返した。船木真主将は、「気持ちを切り替えて2回戦に臨みたい」と安堵(あんど)感にひたらず、次戦に目を向けた。【野上伸悟】