テニスの日本男子代表チームに緊急事態だ。6日に開幕する男子国別対抗戦デビス杯予選、日本-エクアドルの両国代表監督会見が4日、会場の兵庫ブルボンビーンズドームで行われ、岩渕聡監督(44)が、日本NO・2で世界48位の西岡良仁(24=ミキハウス)が、新型コロナウイルスの影響を不安視し、代表から離脱したことを明らかにした。

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西岡、岩渕監督、2人ともに苦渋の決断だった。西岡は自身のSNSで「コロナウイルスの脅威とともに、次の大会がある米国に入国できなくなる可能性があるため」と、離脱の理由を説明。「プレーを見せられなく、自分勝手で申し訳ない」と謝罪した。

代表エントリーの締め切りは開幕10日前の2月25日。その時、西岡は代表入りを快諾した。その後、同月26日にドバイで初戦敗退。日本に帰国し「その時は代表でプレーするつもりだった」。その後、新型コロナウイルスの影響は深刻になるばかりだった。

デビス杯の次は、米国で12日開幕のBNPパリバオープン(米インディアンウエルズ)、25日からのマイアミオープン(米マイアミ)に出場予定だ。ともに4大大会に次ぐ規模のマスターズ大会。西岡にとっては得意のハードコートで、上位進出も望める。

デビス杯後でも、日程的には間に合う。しかし、その時点で米国に入国できない可能性も出てきた。早く移動しないと欠場になる。西岡も迷った。チームにとって、西岡の離脱は痛い。岩渕監督は「エントリー以降、状況が変化した。話し合って、彼の意向を尊重した」と、後ろ髪を引かれる西岡の背中を押した。西岡はすぐに渡米し、現在は米アリゾナにいる。

規則上は、開幕10日前の代表エントリー締め切りから、開幕前日の組み合わせ抽選式1時間前までの間に、2人の選手を替えることができる。今回なら締め切りが2月25日で、抽選式が5日の午前10時なので、午前9時までに2人のメンバー変更が可能のため、問題はない。

西岡は2月24日付の世界ランキングで自己最高位を更新し、自身初のトップ50入り。乗りに乗っている現在、念願の東京オリンピック出場に向けても、米の2大会欠場だけはどうしても避けたかった。そして、その思いを、日本チーム全員が後押しした。【吉松忠弘】

○…昨年9月の全米以降、右ひじのケガで実戦から離脱している錦織圭(30)が4日、久々に公の前でプレーを披露した。デビス杯の会場で、男子代表の高田充コーチと、改良中のサーブを練習。高田コーチが、いろんな角度からタブレットで録画し、何度もチェック。「元気っすよ!」と、少し茶色を入れ伸ばしたサラサラ・ヘアで、何度もサーブを打った。12日開幕のBNPパリバオープンは欠場となった。

◆デビスカップ 1900年に始まった男子テニスの国別対抗戦。19年から大きく開催方式が変更となり、年末に18カ国が1会場でファイナル(本戦)を行い優勝を決める。18カ国は、前年のベスト4と推薦枠2カ国。それ以外の12カ国は、24カ国が参加する予選で勝った12カ国が進出する。無観客で行われる日本-エクアドルは、その予選の対戦で、勝ったチームが11月のマドリードで開催されるファイナルに進出。負けたチームは、世界グループ1部に降格する。