新潟県アイススケート連盟特別強化指定選手の鈴木愛理(19)が、プロスケーターとして活躍の場を新潟から世界へ移す。

日本からただ1人、カリブ海を拠点に航海する豪華客船「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」でのアイススケートショー出演(8月~)が内定している。世界中で広がる新型コロナウイルス感染が終息するまでは、新潟フィギュアクラブでアシスタントコーチを務めながら、夢の大舞台主演へ向け準備を進めている。

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鈴木が乗船する「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」は全長300メートル超を誇る豪華客船で、カリブ海を拠点に航海する。船内でのショーに出演するプロスケーターは鈴木を含め10人で、日本からはただ1人。「船の中にリンクがあることが想像つかない。言葉の面で不安はあるけど、楽しみの方が大きい」。世界規模の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、8月からのツアー開催はまだ不透明だが「こんなことに左右されない」と前を向く。

練習拠点の新潟市のリンクは現在閉鎖中。自宅練習の日々が続くが「コロナの終息を願うだけ。今は基礎体力の維持と向上、表現力をもっと身につける期間にしている」。筋トレや柔軟体操に加え、女優やダンサーの表情や動きを研究し、今まで以上に感性に磨きをかけている。リンク使用再開後は、7歳から所属している新潟フィギュアクラブでアシスタントコーチを務めながら、氷上での個人練習を進める予定だ。

鈴木は昨年8月、単身カナダへ約1カ月間の短期留学を行い、初の国際大会「NYSA Summer Skate2019」のジュニアクラスに出場。結果は44人中15位だった。「海外選手は表現する感覚が全く別。刺激的だった」。帰国してすぐにサンタモニカの舞台学術グループ「Willy Bietak Productions」へ自己PR動画を送り、ビデオ通話での面接やオーディションを経て、ショーの出演を勝ち取った。

鈴木は167センチの長身を生かしたダイナミックなスケーティングとスピンが持ち味。東京学館新潟高時代には、県の特別強化指定選手として17年に県大会準優勝、全国高校総体には2回出場した。鈴木を7歳から指導する松澤光代コーチ(48)は「彼女は堂々としているし、絵になる」と評価する。プロ生活をスタートさせる鈴木は「体が大きい分、小さいミスが雑に見えてしまう。普段からお客さんに見られているつもりで丁寧に練習する」と課題克服を誓った。

アイススケートショー出演は小さい頃からの夢。「人を魅了する表現力を身につけ、海外で長く活躍できるプロスケーターになりたい」と、将来の目標を描いた。【小林忠】

◆鈴木愛理(すずき・あいり)2001年(平13)4月10日生まれ、新潟市出身。5歳でスケートを始め、小学1年から新潟フィギュアクラブに入団。東京学館新潟(新潟フィギュアクラブ)では1、3年でインターハイ出場。新潟県スケート連盟特別強化指定選手。167センチ。