体操男子で18年ユース五輪5冠の北園丈琉(17=大阪・清風高)が、ボクシングの世界王者の「がむしゃらさ」を刺激にした。

8日、大阪府内の高校で、来年4月から社会人チーム徳洲会に所属する発表と公開練習を行い、コロナ禍での日々に言及。「井上尚弥選手の動画を見て、めっちゃ自分を追い込んだトレーニングをしてて、僕もがむしゃらにやろうと思いました。(ボクシングは)たまに見たりはしてて、見てみようと。密着のやつです」と振り返った。

高校での部活動ができなくなり、4月からは自宅でのトレーニングが続いた。メニューを自力で組む方針の中で、視野を広めるためにさまざまな競技の選手の映像や言葉に触れたという。目を見張った1つが、ボクシング世界バンタム級王者の井上尚弥だった。「技術というより、精神面、気持ちの持ち方などが響きました」と気持ちが引き締まった。メニューも量なども大幅に変え、できない状況に後ろを向くのではなく、追い込み続けてきた。

目標がある。東京オリンピック(五輪)が決まった小5の時から「東京五輪で金メダル」と言い続けてきた。1年延期にはなったが、「東京五輪はなくなったわけじゃない。その目標はずっとあって、そこを見据えてやっている」とブレはまったくない。

そのために、大学に進学する選手が多い中で高卒で社会人チームに属する。拠点は現在の清風高で変えず、まい進する。「体操を続けていく上で、一番、体操に専念できる。体操以外の面でも食事なども整っている。一番強くなるのに最高の環境だと思いました」。視野も広く、多様な学びも胸に、小学生時代の目標をかなえる。

◆北園丈琉(きたぞの・たける)2002年10月21日、大阪府生まれ。3歳から競技を始め、中高一貫校の清風中に進学。18年ユース五輪で5冠、19年高校総体では高2で4冠を達成した。148センチ、45キロ。