全国大学ラグビー選手権で2連覇を目指す早大(関東対抗戦2位)が10日、東京・上井草で翌11日の決勝(東京・国立競技場)に向けた最後の練習を行った。

天理大(関西1位)との決戦へ。展開の形やスクラム、ラインアウトの攻防を入念に確認。ダミーに相手の黒ジャージーを着せてタックルする“儀式”で全体練習を締めくくり、NO8丸尾崇真主将(4年=早実)が円陣で「今から急にスキルがうまくなることはない。ただ、戦う気持ちは明日まで上げられる。覚悟を持って国立に立とう」と語りかけた。

早実の初等部からワセダ一筋。誰よりもアカクロへの愛が強い男は、決勝を最後に競技の第一線から退くことを決めている。この日が上井草での最後の練習となったが「変に意識することなく、いい意味で落ちついている。最後、は明日。今日の練習も道のりの途中なので、決勝では優勝して終わりたいし、迷いもない」と、すがすがしい表情を見せた。

昨年の決勝では、新装された国立での記念すべき初トライを決め、08年度以来11季ぶりの優勝に貢献。日本一になった時だけ歌える第2部歌「荒ぶる」を響かせた。夢はかなえたが、やはり自分の代で、と強く思う。新型コロナウイルス感染予防のため、今年は優勝しても会場では合唱しない決定をしたが、価値は変わらない。

準決勝で宿敵明大を圧倒し、勝ち上がってきた天理大との最終決戦へ。「しぶとく粘り強く戦い続ける。それに限る。何度でも挑む気持ちを忘れずにいきたい」。最高のフィナーレをラグビー人生の集大成にする。【木下淳】