東京五輪女子団体代表の平野美宇(20=日本生命)が出場初日に姿を消した。シード選手としてシングルス5回戦から登場も、6回戦で木原美悠(16=JOCエリートアカデミー)に0-4のストレート負け。新型コロナウイルスや腰痛の影響で約10カ月ぶりの実戦となったが、五輪代表としての本領を発揮できなかった。女子の伊藤美誠、石川佳純、男子の張本智和、丹羽孝希らその他の五輪代表はそろって8強に進んだ。

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4歳下の木原に圧倒された。2年前も、この日と同じ5回戦で敗れた相手。平野は最終ゲームで、1-1から7連続失点すると、そのまま力なくストレートで敗れた。試合後はベンチからしばらく立ち上がれない。「組み合わせを見たときに、この対決が大事だと思っていたが、サーブなどで先手を取られてしまった」と悔やんだ。

コロナ禍で対外試合ができなかった昨年7月後半の練習中、腰を痛めた。長引く腰痛で、9月のTリーグオールスター戦、11月に中国で行われた国際大会、さらにはTリーグ本戦も出場できなかった。練習は10月から再開したが、練習試合などの本格的な練習ができ始めたのは12月。全日本は事実上のぶっつけ本番だった。

過去2年は5回戦敗退。今大会は鬼門の5回戦をストレート勝ちで勢いに乗った。4年ぶりの優勝へ上位進出も期待されたが、そう簡単にはいかなかった。一昨年準優勝の実力者の16歳木原には、10カ月のブランクが大きく響いた。

ただ平野自身、暗くはない。「全日本は復帰戦として捉えていた。どれだけできるかを試したかった。今回の結果を受け止めて五輪に向けて進みたい。試合ができているので腰は大丈夫だと思っている」。

その東京五輪だが、開催地東京などではコロナの影響で緊急事態宣言が発令される事態になっている。東京五輪への世論の風当たりが強くなっている中、五輪についての思いを聞かれ「厳しい状況で、いろいろな意見があるのは分かる。でも選手からすると、すごく開催してほしい。五輪の場で戦いたい」と明確な意志を表明した。

昨年20歳になり、故郷山梨県中央市のホームページ上に平野の「新成人の誓い」を述べた動画がアップされた。動画では「この1年はコロナの影響で練習や試合が思うようにできない中、卓球ができる喜びを感じた。東京五輪団体戦では同い年の皆さまに勇気や感動を与えられるような戦いをし、必ず金メダルを勝ち取りたい」と宣言。日本卓球界の悲願へ、平野の復調は欠かせない。【三須一紀】