東京オリンピック(五輪)で女子シングルス代表の石川佳純(27=全農)が2年連続で4強入りした。横井咲桜(16=四天王寺高)を4-1で下し、5年ぶり5度目の優勝へあと2勝となった。

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5年ぶりの復活Vへ。石川の気持ちは年を重ねるのと反比例して、若返りを見せていた。11歳下の横井に第1ゲーム、2-8と劣勢に立たされる。ここからが真骨頂。ベテランらしく受けて立つのではなく、向かっていった。5連続得点などで巻き返し、12-10と逆転。「1ゲーム目を取れていなかったら苦しい展開だった。(見た目の)4-1よりも厳しかった」。

いくら年下でも相手の長所を尊敬し、その上で見極める。3年前の合宿で練習したことを記憶し続け「センスある選手だと思っていたが、やはり今回も強かった。サーブ、バックハンドがうまい」と分析し、対応。第2ゲームは1-11と圧倒され「1点しか取れなかった。戦い方を変えないと負けると思った」と第3ゲームから、ラリー戦に切り替えペースを握った。

準決勝で当たる木原美悠(JOCエリートアカデミー)は16歳、同じく4強入りした伊藤、早田は20歳。昨年までは4大会連続で10代のチャンピオンが誕生している。若手の台頭が激しい中で「昔みたいに受けて立つという考えはない。年齢関係なく、向かっていく気持ちでやっている」。

毎年、年齢のことを聞かれても嫌な顔一つしない。「昔は自分が4強で一番年下だった。いつの間にか自分だけ27歳になっていて時の流れを感じる。自分自身はまだまだやれると思っている。勝ち負けに年齢が原因ということはない。気にせずやりたいし、自分のやれることを突き詰めたい」。

前回の優勝は16年。リオデジャネイロ五輪イヤーに弾みを付けた。今年も五輪イヤー。24年パリ五輪について「五輪を目指すことはものすごい覚悟がいる。その覚悟が持てるかどうか正直分からない」という石川にとって、東京五輪は格別な存在だ。

五輪へ勢いづくにも5年ぶり5度目の日本一を手にしたい。まずは木原を迎え撃つ。「伸び盛りで思いきってやらないと勝つのが難しい。受けて立つつもりはない」。フレッシュな精神状態が、より手ごわさを増大させている。【三須一紀】