2月の全国高校スキーアルペン男子大回転で初優勝した札幌第一の山中新汰(あらた)と同女子回転準優勝の本田陽菜(ひな、ともに18)が4日、母校で“3日遅れの卒業式”に出席した。山中は、悪天候で2日からこの日に順延された全日本選手権(釧路)大回転に出場したため、帰路の車内からリモートで参加した。

途切れ途切れの通信状態のなか、山中はタブレット端末からすがすがしい笑顔と歯切れの良い言葉を届けた。「当面の目標だった全国高校優勝を達成できたのも札幌第一で学べたからこそ。周囲の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と卒業の喜びを口にした。

1年時に回転で全国4位に入った有望株だが、2年時の海外遠征で両足親指に凍傷を負いシーズンを棒に振るなど、決して順風満帆な競技生活ではなかった。しかし、最終学年の今季はコロナ禍の中でも工夫してトレーニングや勉学にも励み、全道2冠、大回転での全国制覇を達成。AO入試で慶大にも合格した。

実家はソフトクリームなど乳製品で有名な赤井川の山中牧場。「将来は後継ぎになるため、慶大でマーケティングを学びたい。育ててくれたキロロスキー場や、村に恩返しをする意味でも、勉学とスキーを頑張っていきたい」と抱負を話した。【奥村晶治】

<本田はロシア転戦へ>

本田も全日本選手権に出場していたが、一足先に帰札して卒業式に臨んだ。昨年10月から遠征続きで、約4カ月ぶりの登校で学びやに別れを告げた。「スキー部はみんな仲が良く、楽しく、切磋琢磨(せっさたくま)して成績を残すことができた」。4月からは日大への進学が決まっており、月内はロシアでの大会を転戦する予定。「ナショナルチームに入るためポイントを加算したい。いずれは世界で戦える選手になりたい」と力を込めた。