前世界記録の2分6秒67を持つ渡辺一平(24=トヨタ自動車)は2分8秒30の3位で東京五輪代表入りを逃した。

試合後、目に涙を浮かべながら取材に応じた。

「準決勝を終えて、今日まで自分なりにやれることは全部やった。レースは自分らしい泳ぎやレース展開をやれたつもり。タイム、順位、全てにおいてふがいない。自分自身、整理できていない。悔しい。こんなに悔しいとは…」と涙声で話した。

東京五輪に向けて、懸けてきた今大会。「昨日の準決勝は落ち着いていて、ラスト50も余力を残しつつだったんですけど、今日の泳ぎは何とも言えない。純粋に、僕自身はこの大会に向けて何カ月も努力して。今までの人生でも1番、頑張った時間だったけれど…。(優勝した)佐藤君の日本記録と(2位で同い年の武良)竜也の大幅な自己ベスト更新を。今は純粋に、彼らの方が頑張っていたのかな」とハイレベルで争ったライバルをたたえた。

一発勝負の怖さについて聞かれると「日本選手権で負けたら、それまで。競泳の面白さとも言えるし、僕自身が感じるのは、すごく残酷なスポーツというか。リオの時は逆の立場で代表になって、それからここまでは引っ張る立場としてすごく頑張ってきたつもり。結果は残念ですけど、代表権を獲得した2人には東京五輪で頑張ってほしい」

最後に、この数カ月の取り組みを振り返り「自分なりにウエートトレーニングなどの取り組み方とか、いろいろ変えて、この数カ月間は自分の人生で1番、頑張った。その中で『日本記録保持者』とかいう考えもなく、決して守りに入ったわけではないですけど、このような結果を受けて整理ができていない状況」。そして、自分自身を納得させるかのように言って締めくくった。「でもこれが、僕ができる精いっぱいの泳ぎでした」。