空手の東京オリンピック(五輪)代表の植草歩(28=JAL)がパワハラ被害を訴えた件を受け、全日本空手道連盟(全空連)は9日、東京都内で常任理事会と理事会を臨時で開き、竹刀を使った練習で選手を負傷させた香川政夫氏(65)を選手強化委員長から解任し、理事としては辞任することを決議したと発表した。香川氏は全空連に両職の辞職願を届けていたが、強化委員長については受理されず、厳しい処分を科せられた。

香川氏は報道陣に対し、「彼女と汗をかき、五輪を目指していた師弟関係が崩れ、こうなったことは残念だし、私の不徳の致すところ」と述べた。植草は同日にブログを更新し、「ご尽力により迅速にご対応いただき感謝しております」などとつづった。

全空連五輪対策本部の笹川善弘副本部長は理事会後の報道対応に臨んだが、用意されたペーパーを読み上げたあとは、解任理由などの詳細を問われるたびに「コメントを差し控える」との発言を連発して退場。連盟側にまともな説明を求めた報道陣が、引き続き会見場に待機する異常な事態となった。その後に同部の里見和洋副本部長代行兼統括が改めて対応し、「帝京大で起こったことで、全空連としては事実確認に限界がある。帝京大内で立ち上がった調査委員会の結果を見守っている状況」と述べた。

先月31日の倫理委員会で双方からの聞き取りが行われ、帝京大師範でもある香川氏が竹刀を用いた練習を行ったことで、植草が目を負傷したことが事実と認定された。