高校総体北海道予選に挑むバスケットボール女子の帯広大谷が、強力な“助っ人”を迎え入れた。スピードスケートオリンピック(五輪)金メダリスト高木菜那&美帆姉妹を帯広南商高時代に指導した東出俊一氏(64)が、今春からフィジカルコーチに就任。世界で戦うメンタリティを注入され、18日から旭川市で開催されるインターハイ道予選に向かう。

帯広大谷の女子バスケットボール部の練習に東出氏の姿がある。今年3月からフィジカルコーチに就任した。スピードスケート18年平昌(ピョンチャン)五輪金メダリストの高木姉妹を育てた手腕をコートでも発揮している。定年後の現在、同校で講師を務めており、昨年から練習で数度アドバイスを送ったことが就任のきっかけだ。「結果を出したいからと話をもらって、引き受けることにした。責任を感じている」と、チーム強化に取り組んでいる。

まずはスローガンを掲げさせた。「スピード、スタミナ、シュートの精度で『3S(スリーエス)』と言っている」。攻守での速さ、最後まで粘り強く戦う体力、最終的に得点につなげるための決定力、勝つためのポイントとして3つを挙げた。そのための体力づくりに着手させた。スピードスケートと同じく、基礎は体力と意識付け「選手は『今までこんな練習したことない』って言っているけど、少しずつ成果は出てきている」とうなずく。

高木姉妹がいかにストイックに練習に取り組んでいたかを伝えると、選手たちの目の色も変わった。結果の裏には日々の努力があると再確認したからだ。02年に就任した民安佳克監督(42)にとっても教わることばかりという。「強豪校の練習とは『似て非なるもの』と言われ、はっとした。心構えから見直し、違いを見せる練習をしないと強くなれない」。

昨年11月の全国高校選手権道予選では3位に躍進。3年生は抜けたが、新チームで狙うは69年以来52年ぶりの全国総体出場だ。高校総体の帯広地区予選は、新型コロナウイルスの影響で途中で中止となり、春の大会で地区2位だったため、全道出場の権利を得た。全国切符は1校のみ。世界一に立った高木姉妹のスピリットで、北海道の頂点を目指す。【保坂果那】

◆高校総体道予選バスケットボール女子の展望 昨年12月の全国高校選手権(ウインターカップ)で8強入りした札幌山の手が優勝候補。同11月に行われた北海道予選で準優勝の北星学園女、3位帯広大谷などが打倒札幌山の手に燃える。帯広大谷は18日の予選トーナメント1回戦で釧路北陽と対戦。4ブロックある予選トーナメントを勝ち上がった4校で決勝リーグを戦い、優勝校が決まる。