東京オリンピック(五輪)日本代表のエース上野優佳(19=中大)が、初優勝に王手をかけた。3年ぶり2度目の決勝に進出した。

初戦となった2回戦から15-4、15-6、15-9と危なげなく勝ち上がり、準決勝も伊達京(日体大)に15-7で快勝。伊達は準々決勝で、上野と同じ五輪代表の東晟良(22=日体大)を破って勢いに乗っていたが、難なく退けた。「五輪後は1週間くらい休んだんですけど、全日本で優勝したくて、すぐ練習を再開して体力や技術を落とさないようにしてきました」。初優勝への本気度を見せつけた。

東京五輪では個人、団体ともに準々決勝へ進出。しかし4強の壁を越えることができず、ともに6位だったが、日本勢最高成績の入賞を果たした。開幕4カ月前の今年3月に疲労骨折した股関節の手術を受けており「復帰戦が五輪だったんです。1年以上、試合をしていなかった中でベスト8進出は大きい」と一定の手応えは得たが、さらに大きかったのは「メダルを取れなかった悔しさ」だった。「だからこそ全日本では絶対に優勝したい」と残す1試合へ執着心を見せた。

3年前、埼玉・星槎国際高川口2年の時に進み、史上最年少17歳での優勝を狙って敗れた決勝の相手が同じ五輪代表の東晟良(22=日体大)だった。今回の決勝は、晟良の姉である東莉央(23=明治安田生命)と対戦する。こちらも五輪代表で気心が知れた仲。代表として幼少時から一緒に練習し、手の内を知り尽くす関係だが「前回は妹に負けたので、今回は、お姉ちゃんの方に勝って必ず優勝したい」と笑顔でリベンジ対象を切り替えた。

決勝は10月3日(LINE CUBE SHIBUYA=渋谷公会堂)から11月6日(会場調整中)に変更となっている。初優勝を成し遂げ、目指す24年パリ五輪へ。「3年しかない」というフェンシングの本場への道のりの再出発には、全日本のタイトルがふさわしい。手中にした上で「ワールドカップ(W杯)もグランプリ(GP)も勝ち続けて、パリの出場権をチームとしても個人としても得られるように頑張りたい」と思い描いた。【木下淳】