東京オリンピック(五輪)の卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼(32=木下グループ)が24日、都内で著書「打ち返す力」(講談社)の出版会見を行った。水谷が一般書を出すのは初めて。「サラリーマンの方とのQ&Aがある。これまでの卓球経験を一般論に置き換えて話しているところが見所」と自信をのぞかせた。

五輪の男子団体で銅メダルを獲得した8月6日の夜に出版の話をもらい、そこからわずか1カ月半で半生を記した書籍を完成させた。現在、テレビのバラエティー番組に引っ張りだこで「これまで経験したことのない、想像したことがない人生を歩んでいる。この一般書も出せた。金メダルの偉大さを感じている」と感想を述べた。

一方で現在の状況を冷静に見ている。「今は五輪の金メダリストとしての需要でテレビなどに出ている。その需要の後は、水谷隼個人として出て行くことになる。その幅は勉強中で、どこまで自分自身ができるかを見極めたい」。さらに「パリ五輪でもまた新たな金メダリストが生まれるし、その怖さもある。有頂天にならずにこれからの人生を歩みたい」と述べた。

前日23日には、チームメートのケガがあり急きょTリーグの試合に出場。8月6日の韓国戦以来、練習もしていなかったため「本当に卓球は難しいと思った。今から現役復帰は無理だと思った」と笑った。【三須一紀】