今年3月の世界選手権(ストックホルム)で初出場銀メダルの鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)が、新技の4回転ループを公式戦で初投入した。4分の1回転不足となったものの、転倒はせず着氷。サルコー、トーループに次ぐ3本目の4回転ジャンプ習得へ前進した。今季2戦目はフリー167・39点の合計261・90点で大会2連覇。次戦は22年北京オリンピック(五輪)のテスト大会となるアジアンオープントロフィー(13~17日、北京)に出場する。

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演技冒頭、鍵山は迷いなく踏み切った。試合で初めて4回転ループに挑戦。右足のブレード(刃)の後方外側に体重をかけ、跳び上がる。着氷はやや乱れたものの転倒せず。耐えた。4分の1回転が足りない「q」マークこそ付いたが「ループは手応えを感じた。未知の領域、新しく3種類目の4回転にチャレンジできて良かった」と納得した。

最後に練習で4回転ループに成功したのは7月のアイスショー。8月に右手首を骨挫傷した影響で、以降は1日1、2本の練習しかできなかっただけに、うれしかった。この日の試合前6分間練習では回り切って着氷し「久々に降りることができた」。日本男子では羽生結弦、宇野昌磨に次ぐ4回転ループ成功者に大きく近づいた。

一方で「ミスする前提」だったという新技の次を反省した。ジャンプ2本目の4回転サルコーが2回転になり「ループを失敗してもサルコーで立て直さないといけなかった。悔しい」。最後のトリプルアクセル(3回転半)も1回転半に。「体力的な問題だった」と次戦への課題も口にした。

その次戦は北京五輪テスト大会のアジアンオープントロフィー(13~17日、北京)だ。「五輪会場(首都体育館)の雰囲気を感じたくて」出場を希望。構成は「今日と同じループ、サルコー、トーループ2本」と4回転3種4本の予定とした。さらに高難度の4回転ルッツも練習中だが、五輪切符がかかる12月の全日本選手権までは「無理をせずループ1本で精度を上げていきたい」。夢の五輪へ、この日のお披露目を皮切りにループの完成度を高める。【木下淳】