ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(49=土屋ホーム)が21日、札幌・宮の森ジャンプ競技場(ヒルサイズ=HS100メートル)で冬季五輪史上最多9度目がかかる22年北京オリンピック(五輪)出場への思いを語った。「自身9度目の挑戦となる。やはり記録を残したいという気持ちは強くある。厳しい状況にあるが、最後まで諦めずに五輪の選考を狙っていきたい」と力を込めた。

逆転で五輪切符をつかみ取る。この日は22日から開幕する全日本選手権の公式練習と予選に参加予定だったが、強風のため中止となった。今大会の成績は五輪代表につながるワールドカップ(W杯)の代表選考対象となる。24日ラージヒル(札幌・大倉山ジャンプ競技場)の優勝者はW杯開幕メンバー入りを果たす。北京五輪代表は22年1月6日W杯終了時点の個人総合上位5人と定められており、昨季26季ぶりにW杯出場を逃したレジェンドは、まずはW杯メンバーに復帰してポイントを稼ぐ必要がある。そのため「ここまで全日本選手権がすごい試合と感じたことは今までなかった。全力で自分のジャンプをして表彰台を狙っていきたい」。プレッシャーを力に変えて、結果だけを求めるつもりだ。

逆境に負けず、数々の記録を打ち立ててきた。W杯最年長優勝、五輪最年長メダリスト、W杯個人最多569試合出場ほか。かつて「五輪の金メダルは、みんなが目指しているもの。僕は銀と銅しか持っていないから」と語っていたことがある。「少しずつ昨季より良くなってきている。自分の力をどれだけ出せるか」と自信を見せる。五輪の舞台に立つために、レジェンドは諦めない。【保坂果那】

<葛西の平昌五輪後>

◆18-19年シーズン W杯メンバーに選出されたが、第1戦の予選64位など不振。1月の札幌大会7位でW杯史上最年長トップ10を更新したが、10大会連続で出場していた世界選手権(2月、オーストリア)代表から外れた。W杯個人総合37位。

◆19-20年シーズン W杯開幕から5戦で最高33位に低迷し、年末年始のジャンプ週間出場を逃す。W杯の下部大会コンチネンタル杯のメンバーにまわり、最高7位に終わった。5月、W杯個人戦569試合出場がギネス記録に認定。

◆20-21年シーズン W杯開幕メンバーを外れ、コンチネンタル杯に個人参加し、12月のスイス・エンゲルベルクの2戦で32、35位。コロナ禍でW杯札幌大会などが中止になる中、国内戦出場を続け、3月の札幌五輪記念で約1年1カ月ぶりの表彰台となる3位タイ。

◆21-22年シーズン サマー大会の初戦だった7月25日のサンピラー国体記念(名寄)で25位。8月1日の札幌市長杯宮の森サマージャンプは21位だった。