東京オリンピック(五輪)フェンシング男子エペ団体の金メダリストで、主将として率いた見延和靖(34=ネクサス)が、さまざまな競技に触れる意義を訴えた。

選手の発掘事業「J-STARプロジェクト」のトークイベントが8日に都内で開かれ、実体験を交えて紹介。五輪後に受けた鼠径(そけい)ヘルニア手術後の経過も良好と言い「(出場予定の)オリンピック後初のW杯で、現時点の自分の位置と世界の距離を把握したい」と意気込んだ。

小学生の時に空手、中学生でバレーボールに励んだ見延は、父の勧めで高校からフェンシングを始めた。その経験が今の自分を作っていると言い「空手では間合いの取り方や攻撃のタイミングを学び、バレーボールでは細かいステップで距離を詰める際の跳躍力が身につきました」。

1つの競技を長く打ち込むメリットがある一方、考え方が凝り固まらないよう新しい刺激をもらうことが大事と強調。他の競技を新たに始めるなら何を選ぶかと質問され、「まだスポットが当たっていないマイナーな競技を選びます」。その心は「各競技には1つ1つの魅力があり、選手が活躍することで光が当たってほしいから」。

自身が今夏の東京五輪で成し遂げた日本フェンシング界初の金メダルは、その代表例。心理的な駆け引きが好きな人にはおすすめと話し「(フェンシングは)いつから始めても大丈夫」とPRも忘れなかった。

2017年からスタートしたJ-STARプロジェクトはスポーツ庁などの選手発掘事業で、今回が5期目。この日のトークイベントには見延の他に、東京五輪7人制女子ラグビー代表の白子未祐(26=ナナイロプリズム福岡)、東京パラリンピックカヌー女子代表でJ-STAR4期生の小松沙季(27=電通デジタル)が参加した。